オーストリアの憲法裁判所は、第2次世界大戦時のドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーの生家を政府が強制収用することを認めた法律を合憲とする判断を下した。ナチス思想の美化に利用されるのを防ぐのに必要との見解を示している。ロイター通信などが伝えた。
ドイツ国境に面するオーストリアの町、ブラウナウ・アム・イン(Braunau am Inn)にある生家を巡っては、売却を拒むオーナーと政府が長年にわたり対立。昨年に接収法が成立したことを受け政府が強制取得に踏み切ったのに対し、家主はこれを違憲として提訴していた。
オーストリアではホロコーストの否定や「かぎ十字」を掲げる行為を含め、ナチス思想の宣伝が法律で禁じられている。こうしたことから、憲法裁は「強制収用は公共の利益に適う」と説明。しかし旧オーナー側は、所有者が変わってもネオナチの聖地としての価値に影響はないため、公共の利益を理由とした接収はおかしいとして、欧州人権裁判所に不服を申し立てる意向を示している。
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