ルーマニア議会は6月29日、トゥドセ新首相率いる与党・社会民主党(PSD)による連立政権の信任投票を行い、275対102の賛成多数で承認した。ただ、既に野党からは経済政策に対する批判が出ており、波乱含みの船出となっている。
PSDは引き続き自由民主同盟(ALDE)と連立を組む。議会の信任を得るには賛成233票が必要だったが、PSDとALDEを合わせた議席数は250議席で、承認は確実視されていた。他にルーマニア・ハンガリー人民主同盟(UDMR)が賛成に回った一方、最大野党の国民自由党(PNL)など3党は反対票を投じた。
トゥドセ首相は、新たな経済改革について「ブレーキをアクセルに踏みかえる」と表現。国庫の財源強化を目指し、インフラプロジェクトへの投資誘致や国営企業の創設を打ち出したほか、高額所得者への課税強化や法人税の課税ベースを利益から売上高に変更する方針を掲げている。
野党はこれに対して、財政政策がころころ変わると非難。特にこれまで利益の16%で統一されていた法人税率を、売上高の1~3%に変更する政策は、ルーマニアへの投資意欲を減退させかねず、ヨハニス大統領も強く批判している。
グリンデアヌ前首相は先に、不信任動議が可決されて失脚した。同氏は1月末、汚職で収監された一部高官を釈放する緊急令を発令し、大規模な抗議デモを引き起こした。その後、緊急令は撤回されたものの、首相の求心力は急速に低下していた。
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