セルビアのブチッチ前首相が5月31日、大統領に就任した。これに先立ち、30日に首相を辞任していた。首相の後任は6月半ばに指名される予定で、それまではダチッチ第一副首相兼外相が首相職を兼任する。ロイター通信などが伝えた。
ブチッチ氏は親欧州連合(EU)派として知られる。大統領は儀礼的な役割が強いが、引き続き中道右派の与党・セルビア進歩党(SNS)の党首にとどまるほか、連立政権への影響力を維持するとみられている。
ブチッチ氏は30日、近隣の西バルカン諸国との経済提携を深化させ、最終的にはEU加盟を目指す方針を改めて示した。ただ、西バルカン諸国がEUに加盟するには大規模な改革が必要で、完了までに数十年かかる可能性もあると指摘。加盟が実現するまでは、西バルカン地域の経済同盟を確立し、同地域の経済的な地位の向上を目指す意向を示した。また、2008年にセルビアから独立したコソボについては、引き続き関係正常化に向けた取り組みを進めるとしている。
ブチッチ氏はかつて急進的なセルビア民族主義者で、1990年代にはコソボ紛争をめぐり北大西洋条約機構(NATO)軍のセルビア空爆を招いたミロシェビッチ元大統領の下で情報相を務めた。ただ、2008年にはSNSに加わって方向性を転換。コソボとの関係改善などに尽力した副首相時代を経て、2014年に首相に就任した。
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