オーストリアの連立政権に参加する保守系・国民党(OVP)のミッテルレーナー副首相(61)が10日、辞任する意向を表明した。OVP内の権力闘争が原因としており、党首の座も降りる方針。党首の後任には、かねて頭角を現していたクルツ欧州・国際関係相(30)が就任するとみられている。AFP通信が伝えた。
OVPは、ケルン首相率いる社会民主党(SPO)と大連立を組む。ミッテルレーナー副首相の辞意表明を受け連立崩壊を危惧する声も上がっていたが、ケルン首相は「オーストリアの改革を進めるため、OVPおよびクルツ氏とパートナーシップを組みたい」と表明している。
ミッテルレーナー氏は辞意表明の記者会見で、「党内の反対派に対処しながら政府の任務を遂行するのは不可能」とコメント。「他の誰かが時機や状況を見極める間、場所取り役を務めるつもりはない」と、クルツ氏への不満をほのめかした。
オーストリアでは2018年後半に総選挙が予定されているが、OVPの支持率は連立相手のSPOや反移民を掲げる極右の自由党(FPO)を下回っている。若手で人気の高いクルツ氏はそんなOVPにとって期待の星となっている。同国では昨年12月の大統領選で緑の党出身の無所属アレクサンダー・ファンデアベレン氏がFPOのノルベルト・ホーファー代表を下して当選。戦後初めて、二大政党から支持を受けなかった候補者が大統領選で勝利する格好となり、SPO、OVP共に危機感を募らせている。
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