チェコのソボトカ首相は、かねて予定していた内閣総辞職の日取りを5月後半に延期した。バビシュ財務相を閣内から外すことが最大の目的だが、ゼマン大統領が同相を残留させるよう働き掛ける可能性もあるため、当初の組閣計画が達成されるよう戦略を練り直すものとみられる。ロイター通信などが4日伝えた。
ソボトカ首相は4日にゼマン大統領と会談したが、この日に内閣総辞職を伝えることを見送った。自身の決定が個人的な動機によるものと受け取られかねず、大統領の対応が判然としない時点で総辞職を通達できないと理由を述べた。ゼマン大統領はこれに対し、計画の変更を伝えるのが遅過ぎると批判し、今回の件をめぐって再びソボトカ首相と会うことはないと表明した。これを受けて同首相は、総辞職を書簡で通達する方針を示した。
後任の首相には、ザオラーレク外相やホバネツ内相が有力視されている。首相の任命権を持つゼマン大統領はテレビ番組のインタビューで、連立与党の一角であるキリスト教民主連合のベロブラーデク党首も考えられると述べた。
バビシュ財務相は連立与党・「ANO2011」の党首で、農業化学をはじめ新聞やラジオも手掛けるアグロフェルト(Agrofert)・グループを保有する。現在、免税公債の利用や自身の会社に対する欧州連合(EU)からの補助金の正当性などが問題視されているが、一切の不正行為を否定している。ゼマン大統領はソボトカ首相と不仲である一方、同相とは良好な関係にある。
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