セルビアで2日に大統領選挙があり、親欧州連合(EU)のブチッチ首相(47)が過半数の得票率を獲得し、勝利を確実にした。セルビアはこれまでロシアや中国寄りの外交を続けてきたが、ブチッチ氏はEU加盟を目指しており、バルカン諸国に対するロシアの影響力が増す中、セルビアの大統領選は周辺国の今後を占う試金石とみられていた。BBC電子版などが伝えた。
選挙管理委員会によると、開票率92%の時点でブチッチ氏の得票率は55.1%。単独候補の得票率が5割を超えたため、決選投票は実施されない見通し。11候補の中で2位の元行政監察官のヤンコビッチ氏(16.27%)を大きく引き離した。
ブチッチ氏は自身の当選について、「セルビアが進むべき方向を示している」と強調。国民の大多数が改革プロセスの継続と、ロシアおよび中国との良好な関係を維持しながらもEU加盟を推進する方針を支持したとコメントした。
同氏は2カ月以内に新政権を発足させる方針。大統領は儀礼的な役割が強いが、引き続き中道右派の与党・セルビア進歩党(SNS)の党首に残るとみられる。
ブチッチ氏はかつて急進的なセルビア民族主義者で、1990年代にはコソボ紛争をめぐり北大西洋条約機構(NATO)軍のセルビア空爆を招いたミロシェビッチ元大統領の下で情報相を務めた。ただ、2008年にはSNSに加わって方向性を転換。コソボとの関係改善などに尽力した副首相時代を経て、2014年に首相に就任した。
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