トルコのエルドアン大統領は25日、欧州連合(EU)への加盟交渉継続をめぐる国民投票を実施する方針を明らかにした。4月16日に行われる改憲の是非を問う国民投票の後に行う予定。ロイター通信などが伝えた。
同大統領は南西部アンタルヤ(Antalya)で開かれた英・トルコフォーラムに出席し、「4月16日の後、EU加盟交渉に関して英国と同様の国民投票を実施し、国民の出した決定に従う」と述べた。また、4月の国民投票や、トルコからの分離独立を目指すクルド人武装組織「クルド労働者党(PKK)」をめぐるEU加盟国の対応について批判し、「EUがファシスト政党の温床になっている」と強調した。
4月の国民投票では、首相職を廃止して大統領の権限を強化する憲法改正案の是非が問われる。トルコ政府は欧州各国に住むトルコ人に憲法改正への賛成を呼び掛ける集会を計画しているが、先にはオランダおよびドイツの2都市がトルコ閣僚の参加を治安上の問題を理由に拒否。また、スイスの首都ベルンではPKK支持・反エルドアン政権デモが行われ、同国の緑の党などが参加した。
EUとトルコは2005年に加盟交渉を開始したが、35項目の交渉分野のうちまとまったのは1項目のみ。欧州議会は昨年11月、加盟交渉を中断する決議を賛成多数で可決した。トルコで同7月に発生したクーデター未遂以降、エルドアン大統領の弾圧的な措置で人権や民主主義の基準が低下していることを理由にしている。欧州議会の決議に拘束力はないが、両者間の緊張が高まっている。
なお、エルドアン大統領はこの前日にも、EUとの政治的・事務的な関係を見直す方針を発表。これには昨年3月に結んだ難民送還計画も含まれている。
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