米インターネット検索エンジン大手グーグル傘下の動画視聴サイト「ユーチューブ(YouTube)」で、英国の政府系機関や大企業の広告が過激主義的な動画と共に掲載されていた問題で、英小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)は20日、グーグルおよびユーチューブへの広告掲載を中止したと明らかにした。政府や一部大企業は既に広告掲載を見合わせており、これに追随した形。BBC(電子版)が伝えた。
この問題は、タイムズが17日公表した独自の調査結果により明らかになった。それによると、ユーチューブでは反ユダヤ主義やレイプ擁護論、人種差別的スピーチなどの過激な演説の動画に英国の政府機関や大手企業の広告が挿入され、投稿者に広告収入をもたらしていた。これを受け、英政府は直ちにユーチューブでの兵士募集や献血などの広告を中止し、同社の代表者を召喚して説明を要求。ガーディアンや英公共放送BBCも広告掲載のボイコットに踏み切っていた。
その後、英金融大手のHSBCやロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、ロイズ・バンキング・グループ、スーパー英2位のセインズベリーや傘下のカタログ販売のアーゴスなども広告を引き揚げたほか、携帯電話サービス大手ボーダフォンや、金融大手バークレイズ、スーパー最大手テスコなども、広告掲載中止を検討中とされる。
これを受け、グーグルの欧州事業を率いるマシュー・ブリティン氏は20日、広告主に謝罪するとともに、広告掲載画面の選択や投稿動画の内容の管理強化に努めると約束した。英国はグーグルの親会社アルファベットにとって、米国に次ぐ第2の市場。2016年の英事業の売上高は78億ドルと、世界売上高の約9%を占め、その大部分が広告収入だった。
なお、ボイコットの動きは英国以外にも広がりを見せ始めており、既に独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の高級車部門アウディや米マクドナルド、仏化粧品大手ロレアルが同社サイトでの広告掲載を見合わせている。
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