オランダ政府は11日、トルコのチャブシオール外相の入国を治安上の問題を理由に拒否した。同外相は在オランダのトルコ系住民に、4月に行われる憲法改正案の是非を問う国民投票への参加を呼び掛ける集会に参加する予定だった。これに対してトルコのエルドアン大統領は、オランダ政府を「ナチスの残党でファシスト」と非難するなど両国の対立が激化している。
チャプシオール外相は、オランダ政府が10日に入国拒否を通告したものの同国に空路で向かったが、オランダ政府は同外相の搭乗する飛行機の着陸を認めなかった。ルッテ首相は「トルコの閣僚がオランダ国内で運動を展開する権利はない」と説明し、エルドアン大統領の発言に対して「全く受け入れられない」として同大統領に謝罪を求めている。
トルコでは、首相職を廃止して大統領の権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が4月16日に実施される。在外トルコ人にも投票権があるため、トルコ政府は欧州各国に住むトルコ人に憲法改正への賛成を呼び掛ける集会を計画し、閣僚が参加を予定している。ドイツでも2都市が治安上の理由からトルコの閣僚が集会に参加することを拒否しているが、ドイツ政府は連邦政府として参加を禁止する計画はないと主張している。
チャプシオール外相は12日にスイス・チューリヒで開かれる集会に参加する予定だったがこれを取りやめた。チューリヒ市当局は先に、連邦政府に対して入国拒否を求めたが、スイス政府は「訪問取りやめを正当化できない」として入国を認めていた。トルコ政府は、同外相のスイス訪問中止の理由を明らかにしていない。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。