スイスの全州議会(上院、定数46)は9日、イスラム教徒の女性が着用する「ブルカ」や「ニカブ」など顔全体を覆うベールについて、公共の場での着用を全国的に禁止する法案を否決した。同法案は昨年9月、国民議会(下院、定数200)を僅差で通過していた。
スイスではすでにイタリア語を公用語とする南部ティチーノ(Ticino)州で、公共の場にて顔全体を覆うベールを着用することを禁止する法案が住民投票で可決。昨年7月に施行が始まっている。違反者には100~1万スイスフラン(99~9,900ドル)の罰金が科されている。
こうした中、第1党で右派の国民党(SVP)の所属議員ウォルター・ウォブマン氏が、これを全国的に施行する法案を提出。下院では、88対87の賛成多数で可決されたものの、上院がこれを阻んだ格好だ。
なお、ウォブマン氏は今年3月、同法案の是非を問う国民投票の実施に向けたキャンペーンを開始。今年9月までに国民投票の実施に必要な10万人の署名を集める目標を掲げている。
なお、欧州ではフランスやベルギー、ドイツ南部のバイエルン州がすでに公共の場でのブルカ着用を禁じているほか、昨年12月にはオランダで同様の法案が可決。オーストリア政府も現在、こうした法案を検討している。
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