フランスの大統領選で極右政党・国民戦線のルペン党首が当選し、公約通りユーロ圏離脱を実行すれば、フランスの借り入れコストは年間300億ユーロ以上も拡大する――。中銀フランス銀行のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が13日、ラジオ・フランス・アンテルナショナルのインタビューでこうした見解を示した。
同総裁は「フランス単独では、金融市場の投機や対ドル相場の変動に晒されても無力だ」と警告。ユーロ圏を離脱すれば「公的債務の費用は年間300億ユーロを上回り、国防予算に匹敵する水準となる」と予想した。費用の内訳は明らかにしなかったものの、「フランス国債の利子はユーロ採用以降に1.5ポイント低下しており、これは住宅ローン利用者や企業投資、納税者にとって重要な意味を持つ」と話した。国内では既に大統領選の結果への懸念から、金利上昇の傾向が見られるとしている。
同総裁はまた、ユーロは国内の物価安定にも役立っていると指摘。ユーロ採用前に5%近くまで上昇していたインフレ率が現在の2%以下まで低下したとしている。
ルペン氏は、国内経済の成長を促すためには金融政策の支配権を取り戻す必要があると主張。ユーロ圏離脱や、欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票の実施、移民の大幅削減を公約に掲げる。9日に公表された仏経済紙レゼコーとラジオ・クラシークによる世論調査によると、同氏の支持率は28%で4位に付ける。大統領選の第1回投票は4月23日に行われる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。