トルコで、首相職を廃止して大統領の権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が4月16日に実施されることが決まった。過半数の賛成を得られれば改憲が実現する。ヌーマン・クルトゥルムシュ副首相の話として、トルコ国営放送(TRT)が10日伝えた。
全18項目から成る改憲案は、これまで象徴的な地位にとどまっていた大統領に閣僚や高官の任命、大統領令の発布、非常事態宣言発動の是非の判断などの権限を与えるもの。現在の首相職は、1人か複数の副大統領が引き受ける計画で、副大統領の任命も大統領が担う。
また、改憲後は大統領の任期を5年で最大2期とするほか、大統領が政党のトップになることも認める。新憲法下での最初の大統領選は2019年11月初めに実施される予定。これによりエルドアン大統領は、再び与党・公正発展党(AKP)を率いるとともに、2029年まで大統領の座にとどまることが可能となる。
AKPは改憲案について、米国やフランスと同様の大統領制への移行であり、イスラム過激派やクルド系武装組織などに対抗するためには強い大統領権限が必要だと主張。これに対し、最大野党の共和人民党(CHP)は、民主的なチェックと均衡を図る機能が弱体化し、大統領の独裁化を招くとして激しく反発していたが、AKPに加え、右派の民族主義者行動党(MHP)が賛成に回ったことから、同改憲案は1月、議会を通過していた。
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