スイスで5月21日、政府の脱原発政策をめぐる国民投票が実施される。第1党で右派の国民党(SVP)が推進するもので、可決されると政府が先にまとめた「2050年までのエネルギー戦略」の見直しが迫られることになる。ザ・ローカルが伝えた。
スイス政府は2011年、福島第1原発の事故を受け、原子力発電を段階的に廃止するとともに、電力需要を再生可能エネルギーで賄う戦略を策定。これにより、国内で新たな原発の建設を禁じるとともに、既に稼働している5カ所の原発については、老朽化により安全基準を満たさなくなった時点で廃炉とする方針を打ち出した。
このエネルギー戦略をめぐっては、スイス自由緑の党と環境団体グリーンピースが昨年、脱原発を前倒しで進める案を推進。昨年11月に同案の是非を問う国民投票が行われ、反対が54.2%で否決された。政府は電力供給不足への懸念からこれに反対していた。
反面、国民党はこれを契機に脱原発政策自体の見直しを求めるキャンペーンを開始。同戦略は「無責任で、押しつけがましく、未来の世代に大きな負担を負わせるもの」と非難し、国民投票の実施に必要な5万人を上回る6万8,390人の署名を集めた。[環境ニュース]
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