スキーリゾートとして知られるスイス南西部レマン湖地方の山村、レ・ディアブルレ(Les Diablerets)で、昨年12月から地域通貨「イズナウ」が流通している。地元スキー場から名前をとったこの通貨は、老朽化したゴンドラの建て替え資金調達を目的に期間限定で発行された。
イズナウは直径約4センチで、銀色の縁取りに金色でゴンドラが刻印されている。1枚10スイスフラン(10.1ドル)で、趣旨に賛同する地元商店やレストランなどで利用できる。5万枚が発行されており、プロジェクトを主導する「イズナウの利益を守る基金」は今年4月末までに25万スイスフランの収益を上げたいと意気込む。
イズナウのスキー場は、ボー州からの助成金が停止されたことをきっかけに、存続をめぐって6年にわたり議論が続いてきた。ゴンドラは1953年製で、建て替えのために運営会社が950万スイスフランを負担するほか、400万スイスフランの債権返済が必要で、地域通貨の収益はこれに充てる方針だ。
同基金の設立メンバーは、スキー場は「地元経済の要」であり、ホテルの集客やスキースクールの存続に欠かせないと主張する。また経済面だけでなく、地域通貨の導入によって、若い世代をはじめとした地元住民たちが自らの未来を守るために行動を起こす必要があることを自覚したという。
欧州ではスイスだけでなく、英イングランド南西部のブリストル市が発行した「ブリストル・ポンド」など地域通貨の導入例は多い。
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