イタリアの憲法裁判所は25日、違憲性が問われた現行の下院の選挙法について、一部を除いて合憲とする判断を下した。違憲とされた内容を修正すれば総選挙が可能となるため、与野党とも2018年2月の任期を前倒しして選挙を行うよう求めている。早ければ6月にも実施される可能性が出てきた。ロイター通信などが25日伝えた。
審査の対象となったのは2015年に改正案が成立した選挙法のうち、得票率が40%を超えた政党に「ボーナス議席」を与えて過半数の議席を確保させる仕組み。判決では、「ボーナス議席」自体は認めた一方、40%超を獲得した政党がなければ上位2党で決選投票を実施することは違憲とし、選挙は1回限りとした。40%を獲得した政党がなければ、議席は得票率で配分される。憲法裁は判決について詳しい報告書を2月後半に公表する。
現在のところ支持率で40%を超える政党はないため、早期に総選挙が実施されれば議会で過半数を獲得する政党は出ない見込み。欧州連合(EU)懐疑派の新興政党で支持率を伸ばしている「五つ星運動」は得票率40%の獲得を目標に掲げるが、40%に届く政党がなければ与党・民主党を中心とした連立政権が誕生する公算が大きい。
ただ議会の解散権を持つマッタレッラ大統領は、昨年12月の国民投票で上院改革に向けた憲法改正案が否決されたことで下院と上院の選挙制度が異なったままとなるため、これが解消されるまでは総選挙の実施には消極的な姿勢を示している。
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