トルコ議会(定数550)は21日、首相職を廃止して大統領の権限を強化する憲法改正案を賛成339票で最終的に承認した。エルドアン大統領が15日以内に署名した上で国民投票を実施し、過半数の賛成を得られれば改憲が実現する。国民投票は3月末から4月半ばとなる見通し。BBC(電子版)などが伝えた。
これまで大統領は象徴的な地位にとどまっていたが、全18項目からなる改憲案では大統領に閣僚や高官の任命、複数の副大統領職の新設と任命、大統領令の発布、非常事態宣言発動の是非の判断などの権限を定めている。また大統領の任期を5年で最大2期とし、新憲法下での最初の大統領選を2019年11月初めに実施することを定めているほか、大統領が政党のトップになることも認める。これによりエルドアン大統領は、再び与党・公正発展党(AKP)を率いるとともに2029年まで大統領の座にとどまることができる。
改憲案の議会での承認には定数の5分の3に当たる330票が必要だが、AKPの勢力は317議席と単独ではこれに届いていない。しかし右派の民族主義者行動党(MHP)が賛成に回った。
AKPは改憲案について、米国やフランスと同様の大統領制への移行であり、イスラム過激派やクルド系武装組織などに対抗するためには強い大統領権限が必要だと主張。一方、最大野党の共和人民党(CHP)は、民主的なチェックと均衡を図る機能が弱体化し、大統領の独裁化を招くとして激しく反発している。
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