ウクライナの首都キエフで、「3人の親」を持つ子供が1月5日に誕生していたことが分かった。3人の親の体外受精(IVF)による出産は世界で2例目。BBC電子版が18日伝えた。
3人の親によるIVFは元々、母性遺伝するミトコンドリア異常から子どもを守る目的で開発された。体外受精を行う際に、異常のある母親の胚(はい)を、匿名の女性ドナーの胚と入れ替える「ミトコンドリア置換療法(MRT)」を施すことで、深刻な遺伝子疾患を持った子どもの出生数を減らせると期待されている。
しかし、キエフの医師団は今回、3人の親によるIVFを、通常のIVFで成果が現れなかった夫婦の不妊治療に適用。ドナーの卵子を使った受精卵から核を除き、依頼者夫婦の受精卵の核を移植する前核移植を行った。医師団によると、子どもの遺伝子は両親から受け継いだものが大部分を占めるものの、卵子提供者のDNAもわずかに混ざる。キエフでは、同じ不妊治療を施した2組目の子供は3月初めにも産まれるという。
3人の親によるIVFを用いたMRTをめぐっては、英上下両院が2015年2月、これを可能とする法案を世界で初めて可決した。昨年12月には英受精胎生認可庁(HFEA)が正式に認可し、早ければ今春にも実施されるとみられている。今回の不妊治療への適用について、英国の専門家は科学的に十分に検証されておらず「非常に実験的だ」と警鐘を鳴らした。
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