欧州議会の法務委員会は12日、ロボットの法的地位に関する報告書を採択した。自動運転車が事故を起こした際の賠償責任や、ロボットをめぐる倫理的問題などの法制化を求める内容で、今後これらの問題が欧州議会の本会議で審議される運びとなった。こうしたルールの策定は、ロボティクスや人工知能(AI)の潜在的経済力を最大限に引き出し、安全衛生水準を保証するために必要で、欧州連合(EU)が規制基準をめぐり主導権を握ることが肝要だとしている。
報告書は、自動運転車やドローン(小型無人機)を含むロボットやAIの進歩を背景に作成されたもので、ロボットに「電子的人間」としての法的地位を与えるべきかの議論が必要と提言。ロボットに学習能力に応じた賠償責任を課すよう提案するとともに、ロボットによる事故に備え、メーカーやオーナーに保険への加入を促している。
また、すべてのロボットに機能停止スイッチを取り付けるとともに、設計者は全ロボットを登録し、ソースコードを公開する必要があると主張。さらに、オートメーション化による雇用喪失に備え、EU加盟各国がベーシックインカム(基礎所得保障)の導入を検討する必要も示唆している。このほか、ロボットによるデータ収集に際してのプライバシー保護などの問題も提起している。
報告書は、数十年後にはAIが人間の知能を上回る可能性もあり、「適切な準備を行わなければ人間がロボットをコントロールする能力が脅かされる恐れもある」と強調。これに向け、EUレベルでロボット工学およびAIの技術・倫理・法律面を監督する機関の設立を求めている。[EU規制][労務]
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