イタリアの最大野党「五つ星運動」は9日、欧州議会で反欧州連合(EU)の会派「自由と直接民主主義の欧州(EFDD)」を離脱し、親EUの中道リベラル会派「欧州自由民主同盟(ALDE)」に参加することを決めた。同党の突然の方針転換に、国内外で批判や戸惑いの声が上がっている。AFP通信などが伝えた。
「五つ星運動」はこの日、党員によるオンライン投票を実施。その結果、投票者の78.5%がALDEへの参加を支持した。同党は2014年の欧州議会選挙で17議席を獲得した後、22議席を擁する英国独立党(UKIP)と共にEFDDを結成していた。
「五つ星運動」を率いる元コメディアンのベッペ・グリッロ氏は投票に先立ち、自らのブログで「UKIPとは袂を分かち、リベラル派と共に歩むべきだ」と党員に訴えていた。UKIPは英国のEU離脱決定で既に役目を終えた上、欧州議会の採決で両党がこれまでに意見を共にしたのは5回に1回程度だったためとしている。一方、同党とALDEは共に直接民主制を支持していることに加え、難民問題やグリーン経済への政策で意見が一致しているという。
ALDEに所属する欧州議員は、「五つ星運動」の参加を歓迎するべきかどうかを10日に決定する見通し。一方、UKIPのナイジェル・ファラージュ前党首は、「欧州議会で最も親EU的な会派に五つ星運動が参加するのは政治的にみて全く非論理的」と批判。また国内でも、党内外の議員から「EU体制派への寝返り」と非難する声が上がっている。
同党の方針転換の背景には、イタリアの総選挙が近付く中、連立相手の選択肢を増やしたい意向があるとみられる。グリッロ氏は長年、イタリアのユーロ圏脱退を唱えてきたものの、EU加盟継続には異議を唱えておらず、同党の若手議員の間ではユーロ圏脱退を主張する声もほとんど聞かれない。
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