ポルトガルのマリオ・ソアレス元大統領が7日、首都リスボンの病院で死去した。92歳だった。同氏はサラザール独裁政権下で反政府運動に参加し、亡命を余儀なくされたが、独裁政治が終わった1974年の「カーネーション革命」後に帰国。首相を経て1986年からは60年ぶりの文民大統領となり、ポルトガルでは「民主化の父」と称された。BBC電子版が伝えた。
ソアレス氏は体調悪化を理由に昨年12月から入院していた。死因は公表されていない。ポルトガル政府は9日から3日間の服喪を宣言した。同氏の遺体はこの日、自宅を経て市内のヒエロニムス修道院に移され、数千人の国民が葬列を見送った。10日に国葬が執り行われる。
ソアレス氏はリスボン大学を卒業後、独裁体制に反対して繰り返し逮捕された後、フランスに亡命してポルトガル社会党の党首に就任。「カーネーション革命」が起きた後、帰国して外相となり祖国の民主化に努めた。1976~78年と1983~85年の2度にわたり首相を務め、欧州連合(EU)の前身である欧州経済共同体(ECC)への加盟を果たした。大統領は2期10年務めた。
ポルトガルのロベロデソウザ大統領は「ソアレス氏は自由なポルトガル、自由な欧州、自由な世界を決して諦めず、常に勝利を収めた」と同氏の功績を称えた。
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