欧州に流入した難民数は、年初からこれまでに約35万人――。欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)のファブリス・レッジェリ代表がドイツのルール新聞(Ruhr Nachrichten)とのインタビューで明らかにした。
それによると、今年に北アフリカから地中海を渡ってイタリアなどに流入した難民数はおよそ17万人、トルコや東地中海を経由した流入数は18万人だった。昨年は全体で100万人以上が流入していたことから、大きく減少している格好だ。
背景には、欧州連合(EU)とトルコが3月に合意した送還計画や、マケドニアの厳格な入国管理の影響がある。フロンテックスは先に、11月に東地中海ルートでギリシャなどに流入した難民数は1,950人と前月から42%減少したと発表した。1~11月では17万3,200人近くとなるが、この大部分は1~3月の流入分で、4月以降は大きく減っている。また、11月の西バルカン諸国経由での難民流入数も約1,130人と1年前の1%以下まで落ち込んだ。反面、北アフリカからイタリアに流入した難民の数は急増しており、1~11月の累計はおよそ17万3,000人と、1年前から5倍以上に膨らんでいる。
レッジェリ代表は、「シリアやイラクなどの紛争の影響で、依然として多くの難民が欧州を目指しているものの、現時点での難民問題はアフリカに移った」と説明。今後については「流入が安定的に推移することを望む」と述べるにとどまった。
EUはアフリカ諸国と難民減少に向けた協力関係の確立を目指している。難民を生み出す根源を断つため、貧困や紛争への対策をEUが援助する代わりに、アフリカ諸国はEUから申請が却下された難民の返還に協力する内容。既にマリとこうした内容の協定を結んでいるほか、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、エチオピアとも交渉を進めている。
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