スペインのバニェス雇用・社会保障相は、スペインの標準時間を1時間遅らせ、グリニッジ標準時(GMT)に戻す案を議会で提案した。現行の標準時が経度に基づく時刻帯と異なるため。これを改めることで生活習慣および生産性の改善が期待されるとしている。ロイター通信が伝えた。
政府はかねて、標準時間の変更と伝統的な昼休み「シエスタ」の全面廃止により、国民の終業時間を2時間早める方向で検討を進めている。バニェス氏は今回、他の欧州諸国の労働実態に合わせる必要性を主張。「終業時間を6時とするため、企業と労組の代表と協議していく」と話している。同案を巡っては、ラホイ首相率いる与党・国民党(PP)と中道新党シウダダノス(Ciudadanos)が賛同しているほか、最大野党・社会労働党(PSOE)もこれを支持する立場を表明しているため、議会を通過する可能性が高いとみられている。
スペインでは現在、GMTプラス1時間を標準時としている。スペインは英国やポルトガルとほぼ同じ経度に位置しており、1940年代までこれらと同じ時間帯を標準時として使用してきた。ただナチス・ドイツによるフランス侵攻に伴い、フランスが1942年、ドイツと同様のGMTプラス1時間とする標準時の使用を開始。当時、スペインを統治していたフランコがこれに倣って標準時を変更した。
一方、シエスタはかつて農民を中心とする労働者が昼下がりの強い日差しを避けて取った長めの休憩時間の名残だが、作業効率の低さや家で過ごす時間が少なくなることなどが問題視されている。公務員のシエスタは2006年に廃止されている。
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