英国で「3人の親」を持つ子どもの誕生に正式なゴーサインが出た。英受精胎生認可庁(HFEA)は15日、3人の親の体外受精(IVF)を認可。母性遺伝するミトコンドリア異常から子どもを守るのが目的で、この種のIVFが法的に認められるのは世界初となる。
HFEAの判断は、科学検証を委託していた専門家グループが先に、3人の親によるIVFの安全性を認めたことを受けたもの。このIVFでは、異常のある母親の胚(はい)を、匿名の女性ドナーの胚と入れ替える「ミトコンドリア置換療法(MRT)」を施すことで、深刻な遺伝子疾患を持った子どもの出生数を減らせると期待されている。
英国では新生児の1万人に1人の確率で、年間120人余りにミトコンドリア異常が認められている。うち一部は、糖尿病や筋委縮、視覚異常などの深刻な疾患を発症している。
3人の親による最初のIVFは、イングランド北東部ニューカッスル大学付属のミトコンドリア研究を手掛けるウェルカムトラストセンターで、早ければ来年3月か4月に実施される予定。同センターのターンブル所長は、年間最大25人の患者を慎重に選出し治療する方針を明らかにしている。
同治療をめぐっては、英上下両院が昨年2月、これを可能とする法案を世界で初めて可決していた。一方、反対派はこれが優良な遺伝子のみを選出し「デザイナー・ベイビー」を作り出す道を開くとして問題視している。
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