英上院は12日に公表した報告書の中で、ブレグジットで最大の打撃を受ける欧州連合(EU)加盟国はアイルランドとの見解を明らかにした。英国との特別な関係にあるアイルランドの脆弱(ぜいじゃく)性は、EUや英政府に十分に認識されていないと警告した。ダウ・ジョーンズなどが伝えた。
アイルランド政府は6月23日の英国の国民投票以前から、ブレグジットが同国経済のほか、1998年の和平合意締結後も不安定な英領北アイルランドに悪影響を及ぼすとの警戒感を表していた。アイルランドは最大限の現状維持を望んでおり、ブレグジット交渉では英国の強力な味方となるとみられる。
英上院は両国の強い結び付きを踏まえ、2国間協定の締結をEUとの最終合意の一環として盛り込むことを提案。また、特別な関係の象徴として、現行の共通旅行区域(CTA)を維持するよう訴えた。アイルランドのフラナガン外務・貿易相は先に、アイルランドと英領北アイルランド間の国境管理を復活させる可能性を示唆していた。ただ、こうした特別扱いを、英国への流出移民を多く抱えるポーランドなどのEU加盟国は「差別的」と見る可能性があり、同国のヌーナン財務相も悲観的な見方を示している。
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