マルタ議会は6日、同性愛から異性愛への「転向治療」を禁止する法案を全会一致で可決した。転向療法の禁止は欧州で初めて。マルタ・トゥデイなどが伝えた。
新法の下では、個人の性的嗜好(しこう)やジェンダーアイデンティティ、ジェンダー表現を矯正・抑圧・排除することが禁止される。違反者には最大1万ユーロの罰金か、最長1年間の禁錮刑が科される。また、性的嗜好やジェンダーアイデンティティ、ジェンダー表現はいかなる観点からも障害や疾患となり得ないとの見解も示された。マルタ議会は併せて、保護者の承諾なしに性別の変更を申請できる年齢を16歳に引き下げる法案も可決した。
性的マイノリティーの矯正をめぐっては近年、徐々に注目度が高まっている。賛同者は、一般的な精神療法やカウンセリングの手法を使っており、本人の意思で「同性愛的な傾向」を変えたり軽減したりすることができると主張。ただ、カリフォルニア州やイリノイ州を含む米国の一部の州で未成年者に対する転向治療を禁止する法案が成立している。性的マイノリティーの人権保護団体によると、こうした療法を強制され、精神的な苦痛を受けた人が少なくないという。
マルタは国民の9割以上がカトリック教徒で、2011年まで離婚も法的に認められていなかった。ただ、2013年に左派の労働党が政権に就いた後、同性婚などの分野で急速に改革が進展。国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)・ヨーロッパによる2015年の調査では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)の人権保護で欧州首位を獲得している。
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