アゼルバイジャン議会(一院制、定数125)は、大統領への誹謗(ひぼう)中傷をソーシャルメディア上に掲載することを禁止する法案を可決した。アリエフ大統領の強権的な支配体制や不景気に不満を抱いている国民にとり、唯一の自由な発言の場にもメスが入る形だ。BBC電子版などが1日伝えた。
それによると偽のアカウントを作成してアリエフ大統領を中傷した場合、1,500マナト(870ドル)の罰金が科されるほか、最大3年の禁錮刑に処される可能性がある。正式なアカウントで違法行為を行った場合は、刑罰がやや軽くなるという。中傷に当たるかの判断は国内の裁判所に委ねられるが、国際人権団体によると司法の独立性は確保されていないという。
同国では3年前、オンライン上の名誉毀損(きそん)が違法となった。今回の法案は、大統領に対する発言に焦点を当てて規制を敷いている。なおアゼルバイジャンでは主要メディアも政府の厳格な統制下にある。
アゼルバイジャンでは9月、大統領権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が実施され、賛成が反対を大きく上回った。改憲案は大統領が随時、議会を解散できる権限や、複数の副大統領ポストの新設なども規定。これまで35歳だった大統領候補の最低年齢制限も撤廃され、アリエフ大統領の19歳の息子を後継者に据える世襲への布石とみられている。
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