英国で近く、「3人の親」を持つ子どもが誕生する可能性が出てきた。専門家グループが11月30日、3人の親の体外受精(IVF)の安全性を認める結論を下したためで、英受精胎生認可庁(HFEA)は15日にも、実施認可の是非を決める見通しだ。ガーディアンなどが伝えた。
今回、実施が見込まれるのは、母親のミトコンドリア異常による子供の難病を防ぐのを目的とした「ミトコンドリア置換療法(MRT)」を施した体外受精。英国では年間約100人の子供にミトコンドリア異常が認められており、そのうち1割が脳損傷や筋委縮、心不全、視覚異常などの深刻な疾患を発症している。
ミトコンドリア置換療法では、体外受精を行う際に、異常のある母親の胚(はい)を、匿名の女性ドナーの胚と入れ替えることで、深刻な遺伝子疾患を持った子どもの出生数を減らすことが可能になるとされる。ただ、治療を受けた子どもは遺伝子的に2人の母親に父親を加えた「3人の親」を持つことになることから、キリスト教慈善団体などが反対している。
同治療を巡っては、英上院が2015年2月、これを可能とする法案を世界で初めて可決。HFEAは実施に先立ち、専門家グループに科学検証を委託していた。今回、これが認可された場合、イングランド北東部ニューカッスルの不妊治療センターで、最初の治療が施される予定。
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