スイスで27日、脱原発政策を前倒しで進める案の是非を問う国民投票が行われ、反対が54.2%で否決された。これを受け、現存する世界最古の原子力発電所であるスイス北部のベツナウ(Beznau)原発は当面、運転を続けることになる。
脱原発の前倒し案は、全26州のうち20州で否決された。賛成派が多かったのはジュネーブ州、バーゼルシュタット準州、バーゼルラント準州、ボー州、ヌーシャテル州で、フランス語圏の州が多い。中でもバーゼル市を擁するバーゼルシュタット準州では60.5%、ジュネーブ州では59%が賛成票を投じた。投票率は全体で45%と、平均的な水準だった。
この案は、スイス自由緑の党が提案者で、同党や環境団体グリーンピースなどが国民投票の実施に必要な10万人の署名を集めた。スイス政府はかねて原子力発電所の段階的廃止を決めているが、これを前倒しで進め、ベツナウ原発の1、2号機とベルン西郊のミューレベルク(Muehleberg)原発を来年中に、残る2カ所の原発もそれぞれ2024年、2029年に閉鎖するよう求めていた。
一方、政府は電力供給不足への懸念からこれに反対していた。ベツナウ原発1号機は昨年3月に異常が検知され運転を停止しているが、同原発を運営する電力大手アクスポ(Axpo)は先に、2030年まで運転を継続しても安全上の問題はないとの見方を示していた。政府の脱原発計画では、同原発1号機とミューレベルク原発を2019年に、他の原子炉も2034年までに閉鎖する予定。[環境ニュース]
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