スペインの下院(定数350)は10月29日、ラホイ暫定首相の信任投票を行い、170対111の賛成多数で、ラホイ氏の続投を承認した。最大野党・社会労働党(PSOE)が棄権したことで、10カ月にわたり続いた政治的空白にようやく終止符が打たれた格好。ラホイ首相は11月3日に閣僚名簿を公表する。
3回目となった今回の信任投票では、ラホイ首相率いる国民党(PP)が137票、中道新党シウダダノス(Ciudadanos)が32票、カナリア諸島の1議員が賛成票をそれぞれ投じた。これらの内訳は9月に否決された前回から変化がないものの、68票に上るPSOEの棄権票が行き詰った政局の打開につながった。
ダウ・ジョーンズによると、PPは単独で少数政権を樹立するが、重要法案の採決に当たっては、シウダダノスのほかバスク自治州やカナリア諸島の議員と交渉し、計176票の確保を目指す方針。
新政権の最優先課題は予算の成立だ。欧州連合(EU)はスペインに対し、今年の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で4.6%以内に、来年は3.1%以内に抑えるよう求めている。実現には約55億ユーロの歳出カットが必要とされ、PPがこれらの党から賛成を取り付けられるかが注目される。昨年の財政赤字は対GDP比で5.1%に上った。
スペインは昨年12月の下院選挙で政権樹立に失敗。6月末のやり直し選挙の結果、PPは第1党を維持したものの、議席数は137議席にとどまり、野党の協力も得られなかったため、連立協議は不調に終わっていた。
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