米配車サービス大手ウーバー(Uber)に登録するドライバーが、自営業者ではなく被雇用者としての待遇を求めていた問題で、ロンドンの雇用審判所は10月28日、原告の訴えを認める判断を下した。これにより法定最低賃金が適用されるほか、有給休暇や勤務中の休憩時間も認められるようになる。
訴えはウーバーに登録するドライバー2人が7月に起こしたもの。ウーバーはドライバーを従業員ではなく自営業者として扱う契約を結んでおり、法で定められた雇用主が被雇用者に対して補償すべき権利を認めていない。例えば、原告の1人の2015年8月の収入は時給換算で5.03ポンドと、英国の21歳以上に支払われるべき7.2ポンドを下回っていた。
英一般労組GMBは今回の判決を歓迎。イングランドとウェールズで働く4万人のウーバードライバーにとって「画期的な勝利だ」としている。一方、ウーバーは上訴する構えを示している。
近年は、ウーバーや民泊予約サイトの米エアビーアンドビー(Airbnb)といったオンライン・プラットフォームを通じて、単発の仕事を受発注する非正規労働が増えている。こうした労働で成り立つ「ギグ・エコノミー」と呼ばれる経済形態が拡大する中、これらの労働に携わる就労者の処遇が問題化している。今回の判決は、同様のドライバー登録制度を採用するテイクアウト注文サイトの英デリバールー(Deliveroo)などにも影響を及ぼす可能性がある。[労務]
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