スイスの首都ベルンの地方裁判所が、イスラム教徒の女性が頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」の着用を理由に解雇されたことを不服として起こした訴訟で、原告の主張を認める判決を下した。地元メディアの報道を元に、ザ・ローカルが23日伝えた。
それによると、原告女性は2015年1月、ベルンの企業からスカーフ着用を理由に解雇された。女性はこの企業で6年間勤務していたが、スカーフを着用し始めた際に雇用主から「企業の衛生ルールに違反する」として着用を禁じられた。これに対し、女性はスカーフを毎日洗濯するか使い捨てスカーフに切り替えると提案したが、拒否されたという。
裁判所は今回、スカーフ着用を理由とする解雇が認められるのは、スカーフ着用により契約で定められた業務内容の継続が不可能となる場合か、勤務環境に「著しく悪影響を与える」場合に限ると説明。同案件では、雇用主が原告の表現の自由を侵害したとの判決を下した。
スカーフ着用に絡む雇用差別をめぐっては、欧州司法裁判所のシャープストン法務官が7月、企業が顧客対応時のスカーフ着用を理由にイスラム教徒の女性従業員を解雇することは違法な直接的差別に当たるとの見解を表明した。一方で、同裁のココット法務官は6月、企業が職場でのスカーフ着用を禁じることは許容できるとの判断も示しており、同裁の内部でも意見が分かれている。法務官の意見に法的効力はないが、欧州司法裁の判決に影響を与えることが多い。[労務]
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