第2次世界大戦当時のドイツの独裁者、アドルフ・ヒトラーの生家が改修される見通しとなった。ネオナチの聖地となるのを防ぐ狙いだが、取り壊しによる歴史の否定も避けたい意向がある。オーストリアのソボトカ内相の発表を元に、BBC電子版が18日報じた。
ヒトラーは1889年にドイツ国境に面するオーストリアの町、ブラウナウ・アム・イン(Braunau am Inn)で誕生。生家の3階建ての建物をめぐっては、売却を拒むオーナーと、不適切な使用を防ぐため1972年から賃借している政府が長年にわたり対立しており、国民の間でも、解体すべきか、新たな用途に用いるべきかで意見が分かれていた。かつては障害者施設として使用されていたが、過去5年間は空き家状態。それでも家主は強制収用に従わず、現在も月額約4,800ユーロの家賃を受け取っているという。
しかし歴史家やユダヤ人団体代表者などから成る専門家委員会は今回、生家と分からないようにするための改修を勧告。取り壊しはオーストリアのナチスの歴史を否定するようなものだとし、行政もしくは社会的施設として用いられるべきと主張した。博物館としての使用は否定している。
ソボトカ内相は当初、専門家委員会が取り壊しを勧告したとしており、後にこれを覆している。
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