スイスで11月27日、脱原発政策を前倒しで進める案をめぐる国民投票が実施される。スイス自由緑の党と環境団体グリーンピースが推進する案だが、政府は電力供給不足への懸念からこれに反対している。
スイスでは現在、5基の原子炉が稼働している。ロイター通信によると、この案では北部のベツナウ(Beznau)原発の1号機および2号機と、ベルン西郊のミューレベルク(Muehleberg)原発を来年中に閉鎖し、残る2カ所の原発もそれぞれ2024年、2029年に閉鎖するよう求めている。
これに対しロイトハルト環境・運輸・エネルギー・通信相は、「再生可能エネルギーへの切り替えが間に合わない」として反対する考えを示した。脱原発を性急に進めれば、エネルギー安全保障が崩れ、ドイツの石炭火力発電所への依存が高まると共に、電力会社への補償に税金を費やすことになりかねないとしている。
スイス連邦エネルギー局によると、2015年の国内電力消費量は582億キロワット時と、前年比1.4%増加。このうち3分の1以上が原子力発電で賄われている。ただ、脱原発前倒し案の推進派は、「現在、5基の原子炉のうち2基が一時停止中だが電力供給に問題はない」と反論している。
スイス政府は2011年、福島第1原子力発電所の事故を受け原子力発電所の段階的廃止を決めた。ミューレベルク原発とベツナウ原発1号機は2019年に、他の原子炉も2034年までに閉鎖される予定となっている。[環境ニュース]
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