ハンガリーの左派新聞ネープサバチャーグが8日、休刊となった。従業員にとっては全く想定外の事態で、政府による圧力とみられている。ロイター通信などが伝えた。
ネープサバチャーグの従業員はこの日、親会社メディアワークスから営業停止に関する通知を受け取ったという。紙面とオンラインの両媒体が対象で、メディアワークスは今回の決断について「コスト削減に努めたが損失が続いていたため」と説明。新たな事業形態が固まるまで発行停止するとしている。
これに対し、ネープサバチャーグの編集部は米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブック上で「最初はクーデターが起きたのかと思った。詳細が分かり次第報告する」と述べている。また、市民人権団体や野党らは「オルバン政権に対して批判的な記事を掲載したため」と指摘。「政府による言論の自由の弾圧」と強く非難し、国会前で抗議デモを行った。
ネープサバチャーグは1956年、独立系左派新聞として創刊された。直近ではオルバン政権が導入した大型小売店の日曜営業制限や大規模商業施設の建設禁止といった規制で、少なくとも7,000人近くの新規雇用が失われたと報道し、日曜営業制限の撤廃に貢献した経緯がある。また、オルバン首相の側近による公費使い込みや中銀のハンガリー国立銀行(MNB)総裁の愛人問題など、多くのスキャンダルを暴いてきた。
なおメディアワークスは今回、同紙の発行部数が過去10年間で74%ほど落ち込み、2007年以降、50億フォリント(1,800万ドル)以上の損失を計上していると説明したが、オンラインメディア「index.hu」によると、ネープサバチャーグは昨年に1億3,400万フォリントの黒字を計上。メディアワークス全体でも4億5,600万フォリントの黒字だったとしている。
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