スイスで25日、警察や情報機関による電話盗聴やインターネット利用記録の入手を認める新法案の是非を問う国民投票が行われ、賛成65.5%で可決された。プライバシー意識の高さで知られる同国民だが、隣国フランスでテロが相次いだことを受け、当局の捜査権限拡大を優先した格好だ。
スイスではこれまで他の先進国と比べて警察や情報機関の捜査手段が限られており、盗聴や電子メールの監視は全面的に禁止されていた。新法が成立すれば、事前に連邦裁判所の承認を得た場合に限りこうした捜査手段が認められるようになる。ただ、こうした手段の利用は年間12回以内に限られる上、テロ関連など最重要容疑者に対してのみ認められるなど、厳しい条件が課されている。
パルムラン国防相は新法案の内容について「国際的な基準で見れば、ようやく地下室から地上に上がってきたようなもの」と説明。米国など、大量のオンライン個人データを収集し、国民のプライバシー侵害で非難されている他の先進国とは比較にならないと強調した。
同法案は2015年に議会で承認されたが、これに反対していた社会民主党や緑の党などの野党連合が署名活動を行い、国民投票で是非を問うことになっていた。直接民主主義制をとるスイスでは年4回実施される国民投票で、さまざまな内容について意見が投じられる。今回の投票率は41.8%と比較的低かった。
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