トルコは、建国100周年を迎える2023年までに欧州連合(EU)への加盟を果たしたい考えだ。同国のセリム・ヤネル駐EU大使が、19日付ウェルトのインタビューで明らかにした。
同大使は、EU加盟は「力強いコミュニティーの一員になること」と説明。トルコにとっては経済や政治だけでなく、保健や消費者保護といった観点でも水準の引き上げに貢献すると期待感を表した。また、トルコが加盟することで、EUがキリスト教徒だけを受け入れる組織ではないことを非加盟諸国にアピールできると話した。
一方、EU加盟各国が懸念しているエルドアン大統領の強権主義については誤解だと強調。特に、7月のクーデター未遂後の同大統領や政府の方針は、事件の主犯とされるイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン氏の勢力から民主主義を守るためであり、欧米諸国はトルコが直面している脅威を理解していないと述べた。その上で、メルケル独首相やトゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長にトルコを訪問し、民主主義が機能していることを確かめてほしいと訴えた。
トルコは1999年にEU加盟候補国となったが、キプロス問題や不安定な民主主義を背景に遅れている。34項目の加盟条件のうち、達成されているのは15項目のみ。
■10月までのビザなし渡航実現に意欲
ヤネル大使は、かねてトルコが求めているEUへのビザ(査証)なし渡航について年内に発効されるべきだと強調。10月までの施行を求めているチャブシオール外相に同調した。
EUとトルコは3月、トルコ経由でギリシャに密航した移民・難民を国籍にかかわらずトルコに送還することで合意。この協力への見返りとして、ビザなし渡航の実現を約束していた。しかし、エルドアン大統領による強権的な憲法改正や報道規制、7月のクーデター未遂後の締め付けなどが障害となっている。
欧州委員会のギュンター・エッティンガー・デジタル経済・社会担当委員は先に、法案が年内に可決される公算は小さいとコメント。これに対し同外相は、10月までにビザなし渡航が認められなければ、難民送還の合意を破棄すると強気の姿勢を示している。
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