トルコの警察は16日、イスタンブールの企業51社を家宅捜索した。これら企業の幹部120人に逮捕状が出されており、うち50人がこの日に身柄を拘束されている。いずれも、7月に起きたクーデター未遂事件の主犯とされる米国亡命中のイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン氏に資金を提供した疑い。警察筋の話として、現地アナドル通信が伝えた。
家宅捜索は、コングロマリットのアフカ(Afka)・ホールディングやスーパーのA101などの企業が対象となり、アフカの会長などが拘束された。これらの企業は、2011~2015年に慈善寄付の名目で、イスラム系金融機関バンク・アスヤ(Asya)を通じてギュレン氏とつながりのある米国やカナダの組織に送金したとみられている。
クーデターは7月15日夜に起き、翌朝に制圧された。エルドアン大統領は対立するギュレン氏を主犯と断定し、関係者への締め付けを開始。これまでに軍関係者、裁判官、教育関係者、警察官など合わせて6万人が拘束あるいは更迭されている。民間企業では先に、バンク・アスヤやメディア企業数社が閉鎖されたほか、コングロマリットのボイダク(Boydak)・ホールディングの幹部3人が拘束された。
ギュレン氏はクーデターへの関与を否定しているものの、エルドアン大統領は同氏が国内外の学校や慈善団体、企業を通じて影響力を拡大し、体制転覆を狙っていると非難し、米国に身柄引き渡しを求めている。ただ、トルコ議会には死刑復活の動きがあり、同大統領もこれを容認していることから、米国は身柄引き渡しには応じない可能性が高い。
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