トルコ最大の都市イスタンブールで7日、7月に起きたクーデター未遂に反対するデモが行われ、少なくとも100万人が集結した。デモには与党・公正発展党(AKP)のエルドアン大統領とユルドゥルム首相に加え、宗教指導者や、最大野党の共和人民党(CHP)と極右の民族主義者行動党(MHP)の党首らも参加し、同事件以降で最大規模となった。
クーデターは7月15日夜に発生したが、翌朝には制圧された。エルドアン大統領は対立する米国亡命中のフェトフッラー・ギュレン氏を主犯と断定しており、関係者への締め付けを開始。これまでに軍関係者、教育関係者、裁判官、政府関係者など6万人が拘束あるいは解任されている。
同大統領は「法の範囲内で彼らを見つけ出し根絶することが必要だが、それで満足しては、同様のウイルスへの防御がおろそかになる」と述べ、反政府勢力への追及を強める姿勢を示した。ユルドゥルム首相も「テロ集団はトルコに戻り代償を払うべきだ」と、ギュレン氏の送還を求めている。なお、クルド系政党の野党・国民民主主義党(HDP)は招待されなかった。
同大統領は併せて、死刑制度の復活をあらためて示唆。トルコが加盟を希望している欧州連合(EU)は死刑制度を認めていないが、日本や中国、米国に同制度が存在していることに触れ、「国民に主権がある以上、国民が望むのなら政党はそれに応えるだろう」と国民の支持を求めた。
■エルドアン大統領、プーチン露大統領と会談へ
エルドアン大統領は9日、ロシアのサンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談する。エルドアン大統領の外遊はクーデター未遂後、初となる。
両首脳が会うのは、2015年11月にトルコ軍がロシア軍の爆撃機を撃墜した事件以来、初めて。この事件をめぐってはロシアが報復措置として経済制裁を科していたが、今年6月にエルドアン大統領がプーチン大統領に謝罪の書簡を送ったことから、関係が修復し始めている。トルコ政府のクーデター未遂後の強硬姿勢が欧米から非難される中、ロシアとの接近を懸念する声も上がっている。
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