シベリア北部のヤマロ・ネネツ自治管区で炭疽(たんそ)症が発生し、約50人の子供を含む90人が同自治管区の中心都市サレハルドの病院に入院して検査を受けている。現地の当局は1日、このうち9人の感染が確認され、うち子供1人が死亡したことを明らかにした。トナカイから感染したという。AFP通信などが伝えた。
トナカイの感染は6月25日に確認され、既に2,300頭以上が死亡している。当局は人やトナカイへのワクチン投与を進めるとともに、感染区域に入った人には抗菌薬を投与している。
同地での炭疽症の発生は1941年以来。現地当局は原因について、熱波により気温が35度まで上昇したことで永久凍土が溶け出し、凍結していた炭疽菌の芽胞が活性化してトナカイに感染したとみている。こうした芽胞は凍土内で100年以上も生き永らえるという。人への感染は、動物の死骸を扱うことや感染した肉を食べることが原因となるが、人から人に感染することはない。感染後すぐに抗生物質を投与すれば治癒する。
ロシア政府は細菌兵器に対処する特殊部隊を現地に派遣。また現地を調べた医師によれば、感染区域は隔絶されている上、ワクチンと抗生物質の十分な用意があるという。
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