トルコで15日夜、軍の一部によるクーデターが発生した。彼らは当初、「全権を掌握した」と主張。テレビ番組で流れた声明では“平和評議会”が行政を制圧し、戒厳令と夜間外出禁止令を敷いたとしていたが、16日朝には制圧された。これにより一般市民を含む265人がなくなったほか、1,400人以上が負傷している。BBCなどが伝えた。
イスタンブールではボスポラス海峡の橋が封鎖され、首都アンカラでは戦闘機が低空飛行を行い、大統領公邸や議会が激しく損傷した。また、報道機関にも軍の一部が突入し、掌握を試みたという。
休暇で首都を離れていたエルドアン大統領は少数派による反乱と述べ、国民に立ち上がるよう呼び掛けた。クーデター勢力への支援はなく、野党も同大統領に賛同したため、16日朝には各地で投降が始まった。当局はこれまでに、空軍や陸軍司令官を含む6,000人を拘束したと発表している。
エルドアン大統領は16日に政権の正常化を宣言するとともに、「反逆者は高い代価を支払うことになるだろう」と、追及を強める考えを示した。また、対立する米国亡命中のフェトフッラー・ギュレン氏がクーデターに関与しているとコメント。「全ての政府組織からウイルスを排除しなくてはならない」と述べ、米当局に同氏の引き渡しを求めた。トルコ政府はさらに米国の関与も示唆したが、米国はこれを強く否定。「ギュレン氏の引き渡しについても、法的根拠があり精査に耐え得る証拠を提示するべき」と述べている。また、ギュレン氏も関与を否定した。
エルドアン大統領はかねて、大統領権限を強化する政策を取っている。3月にはギュレン氏が率いるイスラム教の教えに基づく市民団体「ギュレン運動」が設立した日刊紙「ザマン」を管理下に置き、政府を批判する記事を一掃。こうした強硬手段には、内外から懸念の声が上がっている。
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