ベトナムのモバイル決済事情

2019年5月24日

シニアリサーチャー 八幡 茜

東南アジアモバイルペイメントバナー



ベトナム経済指標


首位は外資系ベンチャーキャピタル出資のスタートアップ

電子マネーが発行可能な認可企業は、2018年11月現在26社あります。ベトナムのモバイル決済サービスにおいて最もユーザー数が多いブランドは、スタートアップの「モモ(Momo)」 、大手IT企業VNG傘下の「ザロペイ(ZaloPay) 」、デジタル・コマースやフィンテックを手がけるネクストテック・グループ・オブ・テクノプレナー(Nexttech)傘下の「ヴィモ(Vimo)」です。

現時点でトップランナーのMomoは、独立系の決済ブランドでありながら、プロモーション費用を積極的に投下し、ユーザー数と加盟店を急速に増やしています。Momoを運営するMサービスは、英系金融大手スタンダード・チャータードや米投資銀行大手ゴールドマン・サックス、米投資会社ウォーバーグ・ピンカスから出資を受けており、外資系ベンチャーキャピタルから注目されているスタートアップです。



ベトナムの電子マネー発行ライセンス認可企業


ベトナム政府は2019年1月に、国内通信各社によるモバイル決済事業の実施を正式に承認しました。そのため今年は、携帯キャリアが決済や送金事業に参入する可能性があります。




モビリティーの整備状況と交通系の決済サービス


ベトナムではこれまで、国有鉄道以外の旅客鉄道がありませんでした。しかし現在、ベトナムで初となる都市鉄道(メトロ)が、ハノイ市とホーチミン市で整備されています。開通後はICカードシステムが導入される予定です。したがって、将来的には日本の「Suica」のように、ICカードや近距離無線通信(NFC)を利用した交通系決済が、リアル店舗においてもサービス展開する可能性があります。NFC導入を見据えている現地企業もあり、電子決済市場はますます拡大する見込みです。




2019年はQRコード決済の普及が進む

昨年から本格的にQRコード決済サービスが始まりましたが、ほとんどのユーザーは、トップアップ(携帯電話通信料のチャージ)と映画館の予約にアプリを利用しているようです。現地での聞き取りによれば、リアル店舗での決済はまだ10%程度とのこと。

他方、Momo、ZaloPay、AirPayは、プロモーションを更に強化する方針を示しています。割引などのインセンティブがユーザーに認知されるようになれば、2019年はQRコード決済が普及し始める年となりそうです。

詳細データは、NNA発行「東南アジアにおけるモバイルペイメントの現状と展望2019」に収録されています。

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