【中国】
にゃんとも愛らしい
ネコ型配膳ロボット
深セン市普渡科技(広東省深セン市、プードゥ・ロボティクス)は、配膳ロボットを手掛けるハイテク企業だ。新型コロナウイルスの流行による非接触の需要拡大を追い風に、「新時代の配膳ロボ」の旗手を目指す。現在は世界60カ国・地域に販売網を広げ、2021年7月末には日本法人を設立し、日本事業にも本腰を入れる。(NNA広州 畠沢優子)
プードゥの配膳ロボット「BellaBot」はネコをモチーフにしたキャラクターロボット。豊かな表情で簡単な会話もできる=中国・深セン市
プードゥは16年設立。直近1年で従業員数を従来の300人から2,500人に増員した。コロナによる非接触の需要拡大が成長の要因だ。コロナ前には主に中国の飲食業界向けに販売し、大手火鍋チェーン「海底撈」や北京ダックの「全聚徳」など数十社に導入された実績を持つ。
プードゥのロボットは、搭載された3Dカメラセンサーを通じて障害物を回避するほか、20台の連携運転ができるのが特長だ。飲食店では、ロボットが複数のトレーで一度に多くの料理、重い食器を安定して運ぶことができるため、配膳業務の効率化が見込める。ネコをモチーフにしたキャラクターロボットは、豊かな表情で簡単な会話もできる「新時代の配膳ロボ」とアピールする。
中国市場での販売台数は順調に伸び、累積1万台を突破。20年からは海外市場でも引き合いが急増し、北米、欧州、アジア・太平洋、中東、南米の60カ国・600都市へと販売網を拡大した。
美団やテンセントも出資
【動画】キャラクターロボットが稼働する様子。頭をなでられると「気持ちいいにゃ」とアニメ声で返答=中国・深セン市
中国ではコロナが流行した期間に、湖北省武漢市など全国の病院数百カ所に投入。コロナ禍でロボットが活躍したこともあり、プードゥの投資環境も直近1年で好転した。政府が労働効率の向上や高齢化社会などを見据えて、ロボット業界に力を入れ始めたことも環境改善につながった背景の一つだ。
20年は出前サービス大手の美団、米ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタルの中国法人である紅杉資本中国などから計3,000万米ドル(約39億8,400万円)の資金を獲得。21年に入ってからも中国IT大手の騰訊控股(テンセント)などから計10億元(約189億9,600万円)の資金を得た。調達資金を使って製品のアップグレードを進めるほか、事業規模の拡大を図る考えだ。
日本のファミレスに導入
21年夏には日本法人のプードゥ・ロボティクス・ジャパンを設立。日本市場でのブランド展開を本格化した。パナソニック傘下のパナソニック産機システムズと提携し、受注販売をするほか、外食大手すかいらーくホールディングスをはじめとした飲食チェーンや図書館などで導入が進んでいる。
プードゥは、「世界の飲食業界で誰でも知っている配膳ロボット企業となる」との展望を描く。
(2021年11月16日 NNA中国版より)