【インドネシア】
食べられるグラスは海藻製
究極のエコ素材で脱プラを

食べられるグラス「Ello Jello」（エヴォガイア・カルヤ・インドネシア提供）

インドネシアに食べられる包装紙やグラスを販売している会社がある。海藻からできているから体に安心で、使い捨てのプラスチック包装材とは違って環境にも優しい。開発企業エヴォガイア・カルヤ・インドネシアの創業者、ダフィッド・クリスティアン氏に聞いた。（聞き手＝アニタ・フィルザ）

――取り扱い商品は。

原料として国内に豊富な海藻に着目した。海藻からできた容器や食品包装紙のブランドは「Evoware」。2016年に第１号の商品として、食べられるグラス「Ello Jello」を投入した。翌年には、海藻からできた包装材「Seaweed Packaging」も投入。この包装材で包んだハンバーガーはそのまま食べても問題ない。

海藻以外の原料からできた製品のブランド「Evoworld」では、キャッサバのでんぷんを原料に使用した生分解性のレジ袋、竹製や木製のカトラリー（スプーンやフォークのセット）、サトウキビの廃材を活用したランチボックス、米粉ストローなどがある。

――グラスに熱いお茶を入れたら味が変わってしまうのでは。

ちょっと味が変わるかもしれないが、冷水なら全然問題ない。

――価格は。

「Ello Jello」については１個１万～２万ルピア（約73～146円）。カトラリーは２万～10万ルピアに設定している。われわれの商品は、プラスチック製品と比べれば３倍ほど高いが、長期的な自然保護という観点からみてほしい。われわれの商品は自然素材で大量生産できないので高くなる。売り上げは初年度から順調に伸びた。特に18年から19年にかけては前年比で数百パーセント拡大した。

――昨今のコロナ禍の影響は。

顧客のホテルやレストラン、カフェなどが閉店や休業に追い込まれた。売り上げはここ３カ月間、平時に比べて９割も落ち込んだ。しかし、コロナ禍だからこそ病院に照準を合わせた活動ができるのではないかと考えている。

病院の薬局で出されるポリ袋や、医療従事者の防護服を環境に優しい素材で生産することなどだ。廃棄物処理事業者と協業し、病院での使用済み防護服の回収や処理などを行うことも検討している。

――ジャカルタで州政府がレジ袋を完全に禁止した。

もちろん、われわれのビジネスにも影響がある。使い捨てレジ袋の代わりを探している多くの人が、当社のビジネスや商品に関心を持ってくれている。州政府の規定は素晴らしいものだと思う。企業が事業の変化を余儀なくされ、環境への配慮が進むだろう。重要なのは、規定が確実に実行されることだ。

（2020年７月27日　ＮＮＡ ＰＯＷＥＲ ＡＳＩＡインドネシア版より）