【ベトナム】
初の日本式カプセルホテル
安心、安全、清潔を売りに
スタンダードのカプセル内は広く圧迫感はない。施錠可能で金庫もある。宿泊フロア、シャワーフロアは男女別、セキュリティーロックで守られている=ホーチミン市
2020年1月、ホーチミン市にベトナム初となる日本式カプセルホテルが開業した。低価格なホテルやホステルがひしめく中、手頃な価格で日本水準の安心・安全・清潔さを備えた「唯一」の宿泊施設として売り込みを図る。
施設名は「J―ESPACE1(ジェイ・エスパス・ワン)」。サイゴン大聖堂など主要な観光名所に徒歩十数分とアクセスの良い立地だ。
運営は、ホテルリゾート企業のヘリテイジリゾート(ホテルヘリテイジ、埼玉県熊谷市)。現地法人のグエン・ティ・ミン・フェ社長によると、ベトナム人スタッフは日本のホテル・ヘリテイジと同じ接客教育を受けているという。
部屋はスタンダード(高さ1メートル、幅1.1メートル、奥行き2.2メートル)が69室(男性用46、女性用23)。2人まで宿泊できるプレミアム(高さ1.2メートル、幅・奥行き2.2メートル)が8室ある。
いずれも想像以上の広さがあり圧迫感は感じない。防音性も高く、中に入れば外部の音はほとんど聞こえない。内部の音も外にもれないため、音楽鑑賞やスマートフォンでの通話も気兼ねなくできる。
ターゲット層は特に絞らず、日本人、ベトナム人、欧米人などのビジネスから観光まで幅広く売り込みを図る。現在は、40歳以下の若者層が多いという。
価格は、スタンダード約2,700円~、プレミアムで約4,000円。日本では納得の価格だが、ホーチミン市内には同価格帯で宿泊できるホテルも少なくはなく、非日系のカプセルホテルもすでに2軒ある。
競争は厳しいように思えるが、フェ社長は「競合はない」と断言する。この価格帯で「安全、安心、清潔」を実現するホテルはないと考えているからだ。
まず、各カプセルはもちろん、宿泊フロアも男女別にセキュリティーロックで隔てている。シャワー室以外の共有スペースには監視カメラも設置して「安全」を実現した。
また、スタッフによる日本式のきめ細やかな接客、日本語と英語による対応、防音性の高い部屋は「安心」を生み出す。そして、清掃と整理整頓を徹底することで「清潔」を維持する。
ホステルやゲストハウスはカーテンで仕切っただけの2段ベッドが並ぶものが多く、プライベート空間の安心感は得られない。また、ほこりが多かったりゴキブリなどの虫が侵入したり防音が徹底していないような、いわゆる「安かろう悪かろう」なホテルも多いのが実情だ。
「一度宿泊してもらえれば、ジェイ・エスパス・ワンの良さは分かってもらえる」(フェ社長)と自信を見せる。開業1カ月ほどで、既に3回も宿泊したベトナム人利用者もいるそうだ。
(2020年2月7日 NNA POWER ASIAベトナム版より)