NNAカンパサール

アジア経済を視る December, 2023, No.106

【新:みんなのお土産】

定番「ばらまき用」調査(上)
喜ばれる日本土産はコレ

「お土産は何にしよう?」。出張や赴任、そして帰国の際に悩ましいのがビジネスシーンの手土産。職場や取引先などに配るための、いわゆる「ばらまき用」について選定理由やお薦め品などをアンケート。結果を3号に渡り掲載する。初回は、日本土産編。外さない王道スイーツからレアな銘品も登場。

イラスト:イケウチリリー

■調査概要
対象:日本とアジア各地在住のNNAの有料契約者およびアジア関連の仕事などに携わるビジネスパーソン(中国、香港、ベトナム在住者は除く)
期間:2023年10月18~31日
方法:ウェブアンケート
回答者数:146人。在住地は日本18人、台湾10人、韓国9人、タイ31人、ラオス1人、マレーシア13人、シンガポール6人、インドネシア31人、フィリピン7人、インド17人、その他3人
内訳:男性88%、女性12%。年代は20代3%、30代10%、40代24%、50代43%、60代18%、他2%

「チョコがおいしい」
菓子がやっぱり鉄板

職場のスタッフへのねぎらいや、取引先へのあいさつ代わりにもなる。日本とアジアを行き来するビジネスパーソンにとって、みんなに喜ばれる土産は仕事の潤滑油。ただ、食品なら味の好みはもちろん食文化への配慮も必須。かといって定番ものが続きマンネリ化するもの避けたいところ。

意外と難しいお土産について、NNAではビジネスパーソンらを対象にアンケートを実施。日本からアジア向けとして実際に購入しているお土産や、失敗談などを聞いた。

日本土産の定番カテゴリーを尋ねたところ、地域、性別、年齢を問わず菓子類が上位に。その一方、年齢が上がるにつれ菓子以外のものを選ぶ傾向もみられた。

回答者が最も多かった「洋菓子」(115人)は、クッキーなどの焼き菓子やチョコレート菓子が鉄板として上がった。「定番はアーモンドチョコレート。現地で売っている一般的なチョコがおいしくないため、日本クオリティーのものをおいしいと言ってくれる」(インドネシア向けに購入・以下同、30代男)

「和菓子」(63人)は、エビせんべいといったせんべい各種の他、カステラ、どら焼き、ようかんなど。「砂糖味が好まれるのでかりんとうや、唐辛子を感じる柿の種が定番」(インド、50代男)など、インド向けには和菓子が無難という声が複数。甘口の味付けがおいしいと「天乃屋の歌舞伎揚」も各地で好評。「硬くてしょっぱいおせんべいはそれほど人気がないが、歌舞伎揚は甘くさくさくして食べやすいと人気」(マレーシア、50代女性)

「スナック」(43人)では「じゃがポックル」など、菓子大手カルビーのジャガイモを使用した商品が多数挙がった。

単価は一気に上がるが、ウイスキー、焼酎、日本酒などの「酒類」(22人)も人気。「食品」(21人)は、フリーズドライのみそ汁、ふりかけ、お茶漬けのもと、めんたいこなど。「その他」(13人)はゴルフ用品、雑誌、玩具などが挙がった。

日本ブランドへの信頼感や、日本にしかないからという声が目立ったのが「雑貨」(14人)、「美容アイテム」(11人)、「一般用医薬品」(6人)。

雑貨で顕著だったのが、消せるボールペンなどの文房具。美容アイテムでは「女性には資生堂のリップクリーム。日本ブランドの高級感があるが安価」(ベトナム、60代男)、一般用医薬品では「クールな目薬。現地でそこまでクールな商品は見かけないから」(マレーシア、50代女)といったコメントが寄せられた。

個包装がポイント
食文化にも要配慮

土産を選ぶ際、重視するポイントについても質問。「おいしい」と並び「個包装」も81人で1位に。食品の土産の場合、おいしさを重視するのは当然として、配りやすい個包装も重視されるようだ。

続いては「日本らしい」(53人)、「コスパ」(48人)。「在留邦人には、コンビニスイーツ各種が大歓迎された。コスパ的にこれ以上の物品はない」(インド、50代男)などの回答があった。

「軽さ」(44人)は、飛行機の荷物重量オーバーを防ぐためにも外せないところ。「ガトーフェスタハラダのラスクは軽量で缶ケース入りなので、お菓子がつぶれて粉々になることがなくおすすめ」(タイ、40代男)

「量が多い」(43人)、「日持ちする」(40人)、「空港など便利な場所で買える」(31人)、「かさばらない」(28人)が続き、「その他」(16人)で目立ったのがインド向けでベジタリアン対応だからというコメント。

「卵も食べられないベジタリアンが多い」(インド、20代男)という食文化を考慮し、動物性由来の原料を使っていない菓子や、食品以外のものを選んでいるとの声が寄せられた。

マレーシア、インドネシアを中心に選ばれたのが「イスラム教徒(ムスリム)対応」(15人)。戒律で豚(豚由来のラード、ゼラチン、ショートニングなど含む)や、アルコールを口にすることが禁じられており、土産選びで気を付けるべきポイントだ。

「日本で普通に売っている菓子は駄目なものが多い」(インドネシア、30代男)、「一部ムスリムはハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証の有無を気にする。日本ではまだ少ないが、マークありの雷おこしなどの菓子を探して持っていく」(インドネシア、50代男)と苦心している様子が浮かび上がった。

「見栄えがする」は8人。また「キャラクター画像が用いられている」は4人と少数であるものの「東京ばな奈『見ぃつけたっ』のピカチュウなど、有名キャラクターのパッケージが喜ばれた」(タイ、30代女)という声も。


アジアで人気の日本土産ベスト3

お薦めとして回答数が多かった上位3品を紹介。味はもちろん、個包装でコスパも良し。迷ったときはこれらを選べば間違いないはず。

1位 白い恋人(石屋製菓)

白い恋人(24枚入り)1,900円。他に9枚入り712円など(石屋製菓提供)

地域を問わず人気を得たのが、ホワイトチョコレートをクッキーで挟んだ、北海道生まれのロングセラー商品「白い恋人」。「タイ人の中でも特に女性に人気」(タイ、60代男)、「(買ってきてほしいと)スタッフから指定がある」(タイ、その他男)、「インド人は甘いもの好きなので、本商品が人気」(インド、30代女)

2位 シガール(ヨックモック)

シガール(20本入り)1,728円。
他に14本入り1,209円など(ヨックモック提供)

ヨックモックのシガールは、バターをふんだんに使ったロール型クッキー。「社内やお客さんに配布」(マレーシア、40代男)、「クッキー詰め合わせが好評。缶ケースも現地事務所で使っている」(フィリピン、30代男)

3位 キットカット(ネスレ日本)

キットカット ミニ オトナの甘さ 濃い抹茶(10枚入り)
希望小売価格540円(ネスレ日本提供)

ウエハースをチョコレートで包んだ英国生まれの菓子。日本では1973年の発売以降、独自に進化して日本酒味など累計450種類を超えるフレーバーを展開。日本らしさをアピールできる抹茶味は海外土産の定番に。「日本でしか販売していない味がある」(韓国、60代男)

その他、こんなお土産が喜ばれました

韓国他で人気の「サントリーウイスキー角瓶」(700ml)希望小売価格1,910円(サントリーのニュースリリースより)

崎陽軒のシューマイは、常温でも持ち運び可能。「ポケットシウマイ」320円(NNA撮影)

フィリピンで好評の日清「カップヌードル シーフードヌードル」希望小売価格254円(NNA撮影)


●「熱中対策 シャツクール」(小林製薬)。暑い期間が長い深セン住民には喜ばれる。現地でも購入できるが、価格は日本の2倍前後(中国、60代男)
●サントリーのウイスキー角瓶は韓国で大人気。(現地では)入手困難かつ高いので喜ばれる(韓国、50代男)
●「コロロ」(UHA味覚糖)などバリエーションに富み進化したグミは(現地で)販売しておらず、高評価を得やすい(韓国、50代男)
●単身の駐在員には崎陽軒の「シウマイ」。コンパクトでコスパも良く、インパクトがある(タイ、50代男)
●タイはゴルフ用品が高いので、土産にすると喜ばれる(タイ、60代男)
●子どもがいる者にはトミカなどの玩具類(ラオス、40代男)
●三菱のボールペンや、にぎりずしのキーホルダーが好評(マレーシア、50代男)
●ポッキーなど、インドネシアで現地生産されている日系メーカーのお菓子でも、日本でのみ製造・販売されているものが大人気。同じシリーズでも味が違うらしい(インドネシア、50代男)
●日清のシーフードヌードルはフィリピンで人気(フィリピン、50代男)
●吉野家のレトルト牛丼(インド、60代男)

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