ビジネス書から語学本まで
アジア本NOW
ビジネスパーソンにおすすめのアジア関連書籍を、新刊を中心にNNA編集スタッフがセレクト。今号は日本でも注目度が高いシンガポールの教育事情に迫った新書。
教育大国シンガポール
日本は何を学べるか
中野円佳(著)
降りられない競争社会
国家予算の2割弱を教育費に投じ、教育先進国としての地位を築いたシンガポール。国際的な学力調査では毎年トップクラスで、近年は英才教育のための移住先として注目を集めている。副題から「優れた教育システムを日本にも」と推奨する内容かと思いきや、反面教師にすべき姿を浮き彫りにする。
著者は元新聞記者で、女性の働き方などをテーマに執筆活動をするジャーナリスト。2017年から5年間、夫の赴任に伴い2児を連れてシンガポールに移住。駐在妻として生活をしながら、ジャーナリスト活動と大学院の調査を兼ねて子育てママへのインタビューを実施。わが子の教育に熱を上げる様を通じて、徹底した学歴社会が生み出したひずみに迫る。
特徴的なのが小学校卒業の段階で受ける国家統一試験。この成績でエリートコースを歩むか否かが振り分けられ、最終学歴にまで大きく影響するという。そのため、早い家庭では就学前から子どもの塾通いをスタート。また、習い事で得られる資格が中学校の出願に有利になるとされ、子どもたちのスケジュールは学校、塾、習い事でびっしり。一部の教育熱心な家庭の話ではなく、これが中流家庭の標準というから驚きだ。
子どもたちは幼い頃から「試験で失敗できない」というマインドを刷り込まれ、ストレスが顕著化。親たちも競争から降りられないジレンマを抱えている。後書きの「バラ色の国などない」という一言を反すうしながら、日本の教育システムを見つめ直すこともできる1冊だ。
BOOK LIST
※紹介文は版元から引用(原文ママ)
香港少年燃ゆ
西谷格(著)
小学館
1,980円
香港デモの現場で著者が出会った15歳の少年・ハオロン。過激なデモに参加し、母親とは不仲の少年は、普段は釣りをするだけの怠惰な日々を過ごしていた。(中略)19年の民主化デモから、20年の国家安全維持法を経て、少年の目線を通して激動の香港社会を見つめたルポルタージュ。
成長戦略は台湾に学べ
御堂裕実子(著)
かんき出版
1,760円 電子版あり
資源のない台湾がいかに、このグローバル社会で勝ってきたか、それは「人(人材登用)」「スピード(特に意思決定)」にあります。日本の隣人である台湾は、最適かつ最高の手本となります。日本で稀有な「台湾専門コンサルタント」が、台湾が持つ圧倒的な強みを明らかにします。
韓国コンテンツのグローバル戦略
韓流ドラマ・K−POP・ウェブトゥーンの未来地図
黄仙惠(著)
星海社
1,485円 電子版あり
ドラマ『冬のソナタ』が韓流ブームを巻き起こした「韓流元年」=2003年から20年が経過し、韓国コンテンツは世界中で人気を集めています。(中略)本書では韓流の20年間──韓国コンテンツビジネスがグローバルなIP制作・展開体制を築くまでの変遷を辿り、その躍進の秘密に迫ります。
世界と日本がわかる 国ぐにの歴史
一冊でわかるタイ史
柿崎一郎(著)
河出書房新社
1,870円
タイとはどういう国か。その歴史を図やイラストを使いながらわかりやすく、ていねいに描く。コラム「そのころ、日本では?」「知れば知るほどおもしろいタイの偉人」も役に立つ。
日本に住んでる世界のひと
金井真紀(著)
大和書房
1,760円 電子版あり
エストニア、メキシコ、ミャンマー、韓国・・・・18組20人のストーリー。普段の生活から入管法や難民問題、差別の歴史まで。
NNA中国業界地図2023年版
~NNA CHINA INDUSTRY MAP 2023~
NNA
46,200円 PDF
中国の主要60業界について、概要、市況、企業分布、法令、動向などを詳細にレポート。2023年版では、新たに10業種を追加しました。延べ1,200社の企業情報を収録、業界の構造を把握でき、中国業界研究、事業戦略の一助となる1冊です。