NNAカンパサール

アジア経済を視る April, 2022, No.87

露のウクライナ侵攻
振り替え需要の発生も

ロシアのウクライナ侵攻により、アジア各国・地域は経済の混迷を深めている。原油、金属、食糧など資源価格が高騰。中間経費や最終製品の価格形成に大きな影響を与えている。一方で、調達先の振り替えが進み、部材や水産などで業績を伸ばす業種・品目も見られる。NNA POWER ASIA、3月配信分から関連記事をセレクト。

ミャンマーの最大都市ヤンゴン中心部の零細商店が多い通りには、自家発電機が路肩にずらりと並ぶようになった=3月10日、ヤンゴン(NNA)

ミャンマーの最大都市ヤンゴン中心部の零細商店が多い通りには、自家発電機が路肩にずらりと並ぶようになった=3月10日、ヤンゴン(NNA)

アジア

中国―欧州鉄道
対ロ制裁下も運行3月7日付

ウクライナ侵攻への対ロシア制裁や安全対策として、欧米・日本の航空会社によるロシア上空乗り入れ停止、コンテナ海運会社による貨物取り扱い停止によってロシアを取り巻く国際物流に混乱が生じている。しかし、中国―欧州連合(EU)間をロシア・ベラルーシ経由で結ぶ国際コンテナ貨物列車「中欧班列」は4日時点では運行に影響がないことが、物流会社への取材で明らかになった。


中国

ロシアで中国スマホの販売急増
制裁受け3月18日付

ロシアで中国ブランドのスマートフォンの販売が急増している。ウクライナ情勢を巡り米欧がロシアへの制裁を強める中、米アップルや韓国サムスン電子がロシアでの販売を停止し製品価格が高騰。比較的安価な中国スマホに需要が流れている。


台湾

車用ケーブル品薄
台湾に受注流入も3月8日付

ウクライナ危機が深刻化する中、台湾の自動車用ケーブル各社に振り替え受注が流れ込む可能性があるとみられている。自動車用ケーブル世界最大手のドイツ・レオニグループがロシアとウクライナの工場の稼働を停止したことで、世界的に自動車用ケーブルが品薄になりつつあるという。


韓国

【ウクライナ危機】
主力の車・半導体で生産支障
ウクライナ危機の波紋拡大(上)3月17日付

韓国企業が懸念していたロシアによるウクライナ侵攻の悪影響が現実のものとなった。ロシアの完成車市場でトップシェアを争う現代自動車・起亜は、現地工場の稼働停止を余儀なくされ生産に支障を来している。半導体製造用の特殊ガスを扱うウクライナの大手企業が操業を停止したため、サムスン電子やSKハイニックスの半導体事業への悪影響も避けられない見通しだ。

〈関連記事〉

【ウクライナ危機】原材料高騰、韓国企業に打撃 ウクライナ危機の波紋拡大(下)


タイ

ロシア侵攻、観光業に打撃か
燃料価格上昇で実質的な所得減に3月2日付

ロシアがウクライナに侵攻したことで、タイ経済への影響に懸念が広がっている。1日に召集された閣議では貿易への影響は軽微との見解が示されたが、物価の動向は注視する必要があることが確認された。専門家は戦争の影響は長期化するとみており、年内は原油価格が高止まりし消費者にとっては実質的な所得減となる。ロシア経済が打撃を受けることで、タイへのロシア人旅行者数の回復にも水を差すなど、影響は避けられない。


ベトナム

越のマグロ輸出
ウクライナ情勢が影響3月9日付

ウクライナ情勢の緊迫化で、世界のマグロ市場で生産から輸出までの活動に影響が出ている。ベトナム税関総局によると、ロシアとウクライナはベトナムのマグロ輸出先トップ20に含まれており、今後の輸出への懸念が強まっている。


マレーシア

ウクライナ情勢の影響は
輸出に追い風? 食品値上がりか3月1日付

混迷を極めるウクライナ情勢が、マレーシアの輸出に追い風となる可能性が指摘されている。原油や天然ガス(LNG)など資源価格の上昇に拍車がかかるとみられるためだ。一方で、一部食品の値上がりを懸念する向きもある。ロシアとウクライナは半導体の原料の主要生産国であることから、半導体産業への影響も取り沙汰されている。


シンガポール

食品業者の仕入れ値上昇
ウクライナ危機で3月15日付

シンガポールの食品業者が原料の仕入れ値の上昇に直面している。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、両国の主要産物である小麦、油糧種子などの供給が減っていることが背景にある。


インドネシア

2月輸出、前年同月比34%増
ウクライナ情勢で資源高騰が寄与3月16日付

インドネシアの中央統計局は15日、2月の輸出額が前年同月比34%増の204億6,400万米ドル(約2兆4,000億円)だったと発表した。ウクライナ情勢の緊迫化による資源価格の高騰により、前月比では7%増加し、3カ月ぶりに増加に転じた。輸入は前月比9%減少し、貿易収支は22カ月連続で黒字となった。


フィリピン

マルコス氏、原発推進を表明
大統領令や原油高受け、反対論も3月10日付

フィリピンで5月に実施される大統領選の最有力候補フェルディナンド・マルコス氏は8日、当選した場合は「原子力発電の導入を促進していくことを約束する」と表明した。これまでも原発利用の検討を主張していたが、導入まで踏み込んだのは初めてとみられる。ドゥテルテ大統領が原発推進の大統領令に署名したことや、ウクライナ情勢の悪化による原油価格の高騰が背景にある。ただ安全性の観点から反対論も根強い。


ミャンマー

自家発電機で生産活動維持
停電頻発で各社、早期復旧を切望3月17日付

ミャンマー国軍が統制する電力・エネルギー省が電力供給減と停電の増加を通達した12日以降、最大都市ヤンゴンなどの日系工場は自家発電機を利用するなどして、事業活動を維持している。一方、発電用燃油の価格上昇を吸収しきれない一部の地場企業は休業に追い込まれており、当局が通達の期限とする19日以降の回復が切に待ち望まれている。


インド

小麦輸出
ウクライナ情勢で大幅増の可能性3月11日付

インドの小麦輸出は、ウクライナ情勢の影響で大幅に増加する可能性がある。貿易業者によると、過去数日間で計約50万トン相当の小麦輸出契約が結ばれた。

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