【図解】
韓国大統領選、与野党候補が大接戦
韓国大統領選挙が3月9日に迫っています。選挙戦は、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長と、革新系与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事による事実上の一騎打ち。最終盤でも大接戦を繰り広げています。NNAは特設ページを設置し、韓国のあすを占う大統領選を読み解きます。
エリート VS 叩き上げ
両候補者はともに法曹界出身でありながら、これまでの歩みは大きく異なります。
尹氏は父母ともに大学教授という学者一家に生まれました。
名門ソウル大学を卒業後、9浪の末に司法試験に合格。検察として、李明博(イ・ミョンバク)元大統領や文在寅(ムン・ジェイン)大統領が法相に指名した側近の曺国(チョ・グク)氏の捜査で名を上げました。政界でのキャリアはありません。
李氏は、貧困家庭の7番目の子どもとして生まれます。父親は市場の清掃員で、李氏は小学校を卒業すると工場で働き始めます。プレスで左手を負傷し、今も障害が残っています。
苦学して司法試験に合格後は人権派弁護士として活躍。政界転身後は、ソウル近郊の城南市長、京畿道知事として実績を積みました。
韓国ギャラップの世論調査によれば、支持率は年明け時点で李氏が大きくリードしていましたが尹氏が急速に追い上げて一時逆転。現在は拮抗しています。
支持率に影響してきたのが、スキャンダルです。両候補とも身内の違法賭博や職歴詐称などが発覚し、謝罪に追い込まれています。
両陣営による「スキャンダル合戦」が繰り広げられる中、政策論争は低調ですが、両候補者の公約は対照的です。
市場経済を重視する尹氏に対し、李氏の目玉政策は「基本所得(ベーシックインカム)」導入。全国民に一定額を支給することを掲げます。ただ、「究極のポピュリズム政策」として反対も強く、ここに来てトーンダウンする発言もみられます。
国民の最大の関心事は不動産政策です。ソウル市のマンション平均価格は文在寅(ムン・ジェイン)政権下の4年半で2倍に上昇しました。全国的にも高騰しており、両候補者とも住宅の供給拡大を訴えています。
選挙戦の行方を左右するのが、若年層の動向です。韓国政府が2021年に実施した調査では、新卒で就職した19~34歳の29.3%が雇用契約1年以下の非正規労働者にとどまっています。08年の11.2%の約3倍です。
22年1月の15~29歳の失業率は6.0%。改善傾向にあるものの、全体の4.1%を大幅に上回っています。
現状に不満を持つ若年層の取り込みが、鍵になりそうです。