NNAカンパサール

アジア経済を視る February, 2022, No.85

【インドネシア入国記】

空港もホテルも“対コロナ”
ジャカルタで隔離7日間

新型コロナウイルス対策として、他のアジア諸国同様、入国規制の緩和と強化を繰り返しているインドネシア。2022年1月7日から再び緩和され、外国人の入国後の隔離期間は10日間から7日間に短縮された。短期出張のため東京から首都ジャカルタに渡ったNNA編集部員が、現地の空港や隔離ホテルの様子を伝える。

スカルノ・ハッタ国際空港内のPCR検査コーナー。白いカーテンの奥が検査ブース=1月7日、インドネシア・バンテン州(NNA撮影)

スカルノ・ハッタ国際空港内のPCR検査コーナー。白いカーテンの奥が検査ブース=1月7日、インドネシア・バンテン州(NNA撮影)

ジャカルタへ向かう機内の様子。座席は他の乗客と隣り合わせにならないよう間隔を空けて配置されていた=1月7日(NNA撮影)

ジャカルタへ向かう機内の様子。座席は他の乗客と隣り合わせにならないよう間隔を空けて配置されていた=1月7日(NNA撮影)

東京とは思えぬ寒さに見舞われた1月6日の深夜、向かったのは東京国際空港(羽田空港)。全日本空輸(ANA)の羽田~ジャカルタ直行便に乗るため、スーツケースを転がしながらチェックインカウンターに並んだ。

インドネシア入国のための書類(ビザ、PCR検査陰性証明書、新型コロナワクチン接種証明書)などを確認されるので、多少の時間がかかったが、それ以外は特に新型コロナ流行前と変わらない様子。なお、ビザはオンライン申請(電子ビザ)で訪問ビザを取得していた。

機内の搭乗率は体感で5~6割。そのうち約8割がインドネシア人で、若者や家族連れが多い印象。日本人は駐在員か、出張者風の人が多かった。通路を挟んだ席に座っていたインドネシア人と思われる若い女性が、いすなど周囲をアルコールで丹念に消毒していたのが印象的だった。

スカルノ・ハッタ国際空港の到着ロビーの様子。書類審査のカウンターが設けられ、入国者は列になってチェックを受けた=1月7日(NNA撮影)

スカルノ・ハッタ国際空港の到着ロビーの様子。書類審査のカウンターが設けられ、入国者は列になってチェックを受けた=1月7日(NNA撮影)

書類審査のカウンター前に設置されたボード。PCR検査陰性証明書とワクチン接種証明書を用意するようにと案内=1月7日(NNA撮影))

書類審査のカウンター前に設置されたボード。PCR検査陰性証明書とワクチン接種証明書を用意するようにと案内=1月7日(NNA撮影)

約8時間のフライトを経て、7日朝にインドネシアのスカルノ・ハッタ国際空港に到着。降機後、空港係員の誘導で、ロビーに設置された書類審査の専用カウンターまで移動。最初のカウンターでパスポートと搭乗券の確認があり、そこで一人一人に個人識別用のQRコードが渡された。

次のカウンターではPCR検査陰性証明書、ワクチン接種証明書を提示し、書類の確認は終了。

その後、PCR検査のコーナーへと誘導され、QRコードとホテルの予約確認書を係員に渡し、自分の番がくるまで待機。検査は個室状のブースで行われ、鼻腔(びくう)と喉の粘膜を拭われて検査は終了。待機を含めて所要時間は15分ほどだった。

入国審査などの流れは新型コロナ流行前と同じで、入国審査→受託手荷物のピックアップ→税関という順。予約していた隔離ホテルのスタッフと到着ロビーで合流し、パスポートをスタッフに提出。以後、パスポートは預けっぱなしで、隔離解除となりホテルをチェックアウトする際にフロントから戻された。

空港からホテルまでは、ホテル側が用意した送迎車で移動。他に宿泊客はおらず、車内は自分ひとりだった。降機から空港出発まで約1時間。空港での全体的なオペレーションは、入国者が少なかったことを差し引いても想像よりスムーズだった。

6泊7日で6万7千円
ありがたかった日本食

客室の様⼦。ネットは使⽤量の制限なしで、通信スピードも必要⼗分。パソコンを使った業務もスムーズに⾏えた=1⽉7⽇、インドネシア・ジャカルタ⾸都特別州(NNA撮影)

客室の様⼦。ネットは使⽤量の制限なしで、通信スピードも必要⼗分。パソコンを使った業務もスムーズに⾏えた=1⽉7⽇、インドネシア・ジャカルタ⾸都特別州(NNA撮影)

宿泊先は、政府指定の隔離ホテルの中から、利便性の良さを基準に南ジャカルタ市の4つ星ホテル「JSルワンサホテル ジャカルタ」を選択。このホテルで一番安かった6泊7日で851万5,500ルピア(約6万7,800円)のプランを利用した。

チェックイン後に特設の受け付けでホテルスタッフから隔離に関する簡単なガイダンスを受け、部屋に移動。ジンジャーコーヒーのサービスがあり、インドネシアに到着したことを実感した。

隔離用ホテルで提供された食事の一例。昼と夜はメイン料理にサラダ、果物が付いた他、和食メニューではみそ汁も出された=1月(NNA撮影) 隔離用ホテルで提供された食事の一例。昼と夜はメイン料理にサラダ、果物が付いた他、和食メニューではみそ汁も出された=1月(NNA撮影)

隔離用ホテルで提供された食事の一例。昼と夜はメイン料理にサラダ、果物が付いた他、和食メニューではみそ汁も出された=1月(NNA撮影)

人にもよると思うが、隔離生活で楽しみになるのが食べること。食事メニューには和食も含まれていて、焼き肉丼やうどんがあった。正直、一部メニューの味はそれなりだったが和食があるのはありがたかった。弁当箱ではなく、毎回きちんとお皿に盛られていた点も何気にうれしかった。

ホテルのウエルカムドリンクとして置かれていたジンジャーコーヒー=1月7日(NNA撮影)

ホテルのウエルカムドリンクとして置かれていたジンジャーコーヒー=1月7日(NNA撮影)

隔離ホテルでは1日3回以外の食事はルームサービスなどを頼まない限り出ないので、間食を食べる習慣がある人はおやつなどを持っていくことをお勧めしたい。外部からの差し入れが可能なホテルもあるかもしれないが、自分は利用しなかった。

ホテルでの隔離は厳格で、滞在中はPCR検査を除き、部屋から一歩も出られず缶詰状態。

食事は客室前の廊下に設置された台の上に置かれ、部屋のチャイムを合図に客室のドアを開けて自分でピックアップする仕組みになっていた。


客室階の廊下で再検査
陰性結果にほっと安堵

隔離中、辛かったのはやはり運動不足。日本の一般的なビジネスホテルよりは広い客室だったが、十分に体を動かすことはできず太ってしまった。仕事以外の時間はやることがないので仕方なしに寝るか、ネットサーフィンをして時間をつぶしていた。

そうして何とか迎えた6日目。隔離解除の前日となるその日の朝8時ごろ、2度目となるPCR検査を受けることに。部屋ごとに順番に廊下へ呼び出され、客室フロアのエレベーター付近に設けられたスペースで受検。入国の際、空港で受けた検査と同様の方式で検体を採取された。

新型コロナ流行後、マスク着用が日常風景に=1月22日、インドネシア・ジャカルタ首都特別州(NNA撮影)

新型コロナ流行後、マスク着用が日常風景に=1月22日、インドネシア・ジャカルタ首都特別州(NNA撮影)

エレベーター脇に設置されている壁掛け式の消毒液=1月27日、インドネシア・ジャカルタ首都特別州(NNA撮影)

エレベーター脇に設置されている壁掛け式の消毒液=1月27日、インドネシア・ジャカルタ首都特別州(NNA撮影)

当日の夕方、書類で知らされた検査の結果は…無事陰性。ほっと胸をなでおろす。そして入国から7日目の朝。ようやく隔離ホテルをチェックアウトすることができた(※)。

※在インドネシア日本大使館のサイトによると、インドネシア政府は入国から14日間は自主隔離を推奨

ジャカルタ市内の様子は、1月中旬の段階では新規感染者の発生は落ち着いていて、市民にもピリピリした様子はない。感染対策は日本と同じレベルで行われていて、マスクは着用が必須で、ほとんどの場所に手指の消毒液が置かれている。エレベーターなどはタッチレス式パネルになっているところも少なくない。ただ、インドネシア国内でも変異株「オミクロン株」の感染者が増えているので、注意が必要であることには変わりない。

「インドネシア・ホテル協会」の公式サイトに掲載されている「JSルワンサホテル ジャカルタ」の食事メニュー

「インドネシア・ホテル協会」の公式サイトに掲載されている「JSルワンサホテル ジャカルタ」の食事メニュー

インドネシア隔離ホテルinfo


1月26日現在、インドネシアに入国する外国人は政府指定ホテルで7日間(6泊7日)の隔離が必要。在インドネシア日本大使館によると、インドネシア政府指定のホテルは「インドネシア・ホテル協会」の公式サイト(https://quarantinehotelsjakarta.com)で検索および予約が可能。ジャカルタ首都圏を中心に約130のホテルが掲載されていて、宿泊料金は6泊7日で520万ルピア(約4万1,300円)から。料金には滞在中の食事やホテルで受検するPCR検査費などが含まれている。ホテルによっては食事メニューがPDFファイルなどで確認可能だ。



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