NNAカンパサール

アジア経済を視る November, 2021, No.82

脱炭素と電力危機の矛盾
アジアで顕在化、原発論も

中国とインドが電力制限や発電停止の瀬戸際に立たされている。アジア各国で二酸化炭素(CO2)の排出を減らしていく流れが加速しているほか、石炭や天然ガスなどの資源インフレで発電コストが高くなっていることが背景にあるとされ、新型コロナウイルス後の景気回復の足かせとなりかねない。一方、より発電コストが安く安定的な電力供給が可能とされる原子力発電への注目度も高まっている。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。

中国が脱炭素化を目指す中、電力を制限してエネルギー消費を減らす動きが各地で広がっている。一部の企業は稼働停止を余儀なくされた=中国・江蘇省南京市(新華社)

中国が脱炭素化を目指す中、電力を制限してエネルギー消費を減らす動きが各地で広がっている。一部の企業は稼働停止を余儀なくされた=中国・江蘇省南京市(新華社)

中国

電力制限の動き広がる
日系企業も稼働停止、全国に波及NNA POWER ASIA 2021年9月27日付

製造業の拠点が集まる江蘇省をはじめ、中国の各地で電力の供給を制限する動きが出ている。中国政府がエネルギー消費量の厳しい管理を各地方に求める中、削減目標を達成できていない省が企業の電力使用量を制限して削減を図っているためだ。日系企業にも影響は及んでおり、稼働停止を余儀なくされる工場も出ている。電力の使用規制の波は今後、全国的に波及しそうだ。


中国

電力不足で原発がフル稼働 存在感高まる
今後も建設加速へNNA POWER ASIA 2021年10月8日付

中国各地の原子力発電所が現在、フル稼働の状態にあるようだ。石炭の供給不足に起因した全国的な電力難が広がる中、原発の存在感が高まっており、今後も原発の建設が続くとみられている。直近では石炭確保に向けた政府の動きも加速している。


インド

石炭不足で州政府がSOS
各州で電力危機、供給削減もNNA POWER ASIA 2021年10月12日付

石炭不足が問題化しているインドで、少なくとも3カ所の地方政府が、発電所の石炭不足に起因する電力危機について、中央政府に緊急対応を要請した。デリー首都圏政府(州政府に相当)のケジリワル首相は、モディ首相に宛てた書簡で電力危機に直面する恐れに言及し、首都圏への適切な石炭供給の確保を求めた。中央政府は、石炭供給は増加していると強調するが、地方政府の関係者からは「発電所の在庫は1~2日分しかない」と切実な声が聞かれ、電力供給の削減を検討・実施する州も出ている。


ベトナム

中国電力危機、原発論浮上も
商工省、公式サイトで提起NNA POWER ASIA 2021年10月11日付

ベトナム商工省は8日、「原子力発電は気候変動に対応できるか」と題した国営ベトナム通信(VNA)の記事を公式サイトに掲載した。同省が策定の中心となる次期電力開発計画をめぐっては、ファム・ミン・チン首相が炭素エネルギー依存からの脱却を図る方策として原発の活用を検討するよう指示したとされる。電力不足が顕在化している中国では、原発がフル稼働で電力供給を下支えしており、近く開幕するベトナム国会でも原発の是非を巡って議論が交わされそうだ。


台湾

中国の電力制限で稼働停止
台湾企業の江蘇工場、管理強化でNNA POWER ASIA 2021年9月28日付

中国各地で電力供給を制限する動きが広がり、現地に工場を構える台湾企業にも影響が及んでいる。中でも台湾企業の工場が集積する江蘇省では、需要が強い半導体関連を除き、多くの工場が9月末まで操業を停止する事態になっている。現時点で業績への影響は限定的との見方が強いが、サプライチェーン(調達・供給網)への影響に懸念が出ている。


韓国

【2050年炭素中立】50年には石炭火力をゼロに
急速な脱炭素シフト、財界が反発NNA POWER ASIA 2021年10月20日付

韓国政府は18日、石炭火力発電所を2050年までに完全廃止すると発表した。30年までに温室効果ガスの排出量を18年比で40%削減する目標案も確定し、従来目標(26.3%)を大幅に上方修正した。50年までに排出量を実質ゼロにする「炭素中立(カーボンニュートラル)」達成を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)政権は実現に向けて弾みをつけたいところだが、財界からは「非現実的な目標だ」として、脱炭素への急速なシフトに対して反発の声が上がっている。

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